ほぼ足りてまだ欲 その先

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戸塚宏

 戸塚ヨットスクール事件は様々な反響を起こした。戸塚宏はヨットによって青少年の自立の路を自分の力で掴めという教育方針なんだろうと聞いている。しかし、体罰を科したことによって少年の命を絶ってしまったことはとてつもなく大きな罪だと確信する。彼は有罪実刑判決を受けて服役した。自立させるためには突き放し、自ら掴む力を引き出してやることが重要だというのは、そうした方針が有効に働く青少年がいることは事実だから全面的に間違っているとはいえないというスタンスを取る人たちは多くいる。
 しかし、それが裏目に出る青少年たちがいることは事実であって、そうした青少年たちも含めてそのプログラムを適用して運営することは間違っている。これも確かである。
 だからこそ、こうした組織、機関、プログラムでは受け入れる時にその青少年がそのプログラムにあっているのか、いないのかを見極めることが非常に重要だ。例えば不登校になる子どもの中でも、ほんの軽いつもりでちょっと止めてみたらなかなか復帰するきっかけが見つからなくなってしまって、しょうがないから家の中で彼等が本来的に持つ力を発散している、という状況の子どももいるし、ある種の精神的打撃を受けてそこから回復できずにいる子どももいる。
 それを一律にプログラムに放り込むのは明らかに間違っている。戸塚ヨットスクールがこうしたプログラムを適用していく上でどのようなインテイクをしているのかをマスコミは報じていない。それが今回の飛び降り事件では大きな要素となるはずだ。これは入ってきて数日にしか過ぎない18歳の少女の単なる発作的行動で片付けることはできないと思う。
 テレビの断片的なニュース画面だけだからどこまで彼の本来的なスタンスを伝えられているのかどうかわからないけれど、彼は集まってきたテレビカメラの前でインタビューに答えていたけれど、私には彼が薄ら笑いを浮かべているような態度に見えてはなはだ不愉快な気分だった。
 「私たちが受け入れた以降のことで、そういう点では責任がある」「心配だったので他の女性ひとりに、コーチひとりをつけて(布団干し)作業をしていたが、目を離したすきに柵を乗り越え、約10メートル下の地面へ飛び降りた」「突発的で防ぎきれない」と発言しているようだ。
 「当初から周囲に「死にたい」と話していたという。同校長は「親にも自殺を防げないかもしれないと言ってあった。誰にも止められない」と話した。(時事通信教育ニュース2009年10月20日10時30分)」という報道もある。これは非常に重要だ。単なる自殺事件として終わらせて良いのだろうか。