これまでの何代かの自由民主党総裁で内閣総理大臣に就任したどの人の最初の所信表明演説に比べても意味のある所信表明だったと確信する。それにしても52分間は長い。テキストになっているものを読んでもちょっとやそっとでは読み切らない。「ここに集まられた議員の皆さん」なんて呼びかけた総理大臣なんて最近聴いたことがない。
事前に各議員にはその所信を印刷した冊子が配られていたんだそうで、これもまた聴いたことがないけれど、自民党議員諸兄はこれを一顧だにしていなかったそうで、その姿勢はあまりにも真面目さにかける。鳩山総理がここでいっていることを読むととても真摯に政治に向き合っていこうとする姿勢が見られる。これが本来的な所信の表明ということだろうと思う。「組織や事業の大掃除」こそがわれわれ国民が本来的に必要なことだと感じていることだと思う。これまでの数人の自民党総理を顧みるとこの点については明確に何も果たしてこなかったといって良い。わずかに河野太郎等が無駄ゼロとして研究してきただけしか私には見えてこなかったといって良い。
「私たちから見て意味の分からない事業については、国民の皆さまに率直にその旨をお伝えすることによって、行政の奥深くまで入り込んだしがらみや既得権益を一掃してまいります」というあたりはこれまでの自民党が何もしてこなかった部分だといって良いだろう。私たちは本当に期待したい。まさかインクリメンタリズムを点検していくという姿勢を政府がとる時期が来るとは思ってもいなかった。これが霞ヶ関の多いなる反対工作にめげることなく、そしてごまかされることなく、頑張って欲しいものだと応援したい。
全文はこちらにも。
しかし、漏れ伝わるところによると野党側(主に自民党だろうけれど)からのヤジは相当にくだらなかったようだ。
野党の反応。
- 自民党・谷垣禎一総裁「具体性に乏しくて、抽象論にかたよっているんじゃないか」「特に経済成長戦略について具体性がなかったのではないか」(拍手や歓声でたたえた民主党議員についても)「ヒトラー・ユーゲント(=ナチス・ドイツの青少年組織)とか(のように)ね、ヒトラーの演説に賛成している印象を受けた」「マニフェストという発言が一回もなかった。彼らにとってマニフェストとは選挙までのことだったのか」 → 「じゃ、君らにとって公約ってのはなんだったかね?」
- 自民党・鳩山邦夫元総務相:「民主党が打ち出したバラマキや夫婦別姓などは全部旧社会党の言ってきたこと。演説が本意とは思えない」と批判。「若い女性向けの少女マンガのシーンみたいな話ばっかりだ」「兄弟だから1-2割は共感するが、あとはただの美辞麗句だ。辞書の中から美しい言葉ばかりを全部引っ張ってきたような作品だ」「社会主義政権を美辞麗句で表現したのが今日の所信表明演説で、兄の本意だとは思えない。兄は社会主義者ではないから」「(衆院では演説終了と同時に民主党議員がスタンディングオベーションした場面に)「まるで北朝鮮のようだ」
- 自民党・川崎二郎国会対策委員長(比例東海)「97兆円に膨らんだ予算のように、必要のないものが精査されていない演説だった。所信表明は常識的に20分から30分だが、今回はその時間で終える努力が見えない」 → 「麻生君の演説の中身でこれだけやられたら辛いなぁ・・・」
- 自民党・三ツ矢憲生衆院議員(三重5区):「友愛や架け橋など抽象的で言葉が踊っていた。キリスト教の説教のようにも感じた。意気込みはあると思うが、政権をとったのだからこそ、抽象論に終わらせず、社会をどう作るというもっと具体的な提言があっていいのではないか」 → 「キリスト教徒なんですか?あなたは? 具体的な提言を谷垣君にも求めてね。みんなでやろう!じゃわからないよ」
- 自民党・小泉 進次郎:「言葉遣いは平易で、わかりやすかったと思います。ただ、その言葉の先にあるビジョンがわからなかった」