ほぼ足りてまだ欲 その先

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圓生

 先日ふるいふるいiPodを金をかけて新替してからかつての圓生をこれにぶち込んでいるので、久しぶりに長講を聴く。昨日は「札所の霊験」で、これは2時間になんなんとする。やっている方も大変だけれど、聴く方もなかなかいっぺんには聴けない。iPodのまんま寝床に持ち込んで聴いているとこれは結構怖い噺で田舎侍が根津の郭で遊女に振りに振られるところから始まるから、「千早振る」のような類のなんか笑い話なのかと思ったらいやいや辛辣な噺で、こりゃ怖い。
 もうひとつの長い噺は「双蝶々」でこちらも2時間に届く。噺の始まりのところは「子別れ」のようなお笑い、涙かと思ったら、いやいやこちらもそう笑える噺じゃなくて段々聴いているこっちの眉間にしわが寄ってきてしまうというものだ。こちらの噺は舞台が下谷から稲荷町、駒形の東辺りで土地勘のあるところだから、ますます笑えない。こりゃ講談だなぁ。
 両方とも郭がらみになっていて、圓生の噺はともかく郭が絡むものが多いなぁという印象があるけれど、これは落語全体についていえるものなんだろうか。きっとそんなテーマで本を書いている人がいそうだな。
 来年正月に京都南座でまず段取りを林家正雀がやり、続けてそのあとを前進座歌舞伎という面白い組み合わせでこの「双蝶々」を公演するという。なにしろ現在の噺家の中で芝居話をやらせたらまず第一と私が信じている正雀さんだから、これは見ものだろうと思うのだけれど、正月の京都にこれだけで行くのもねぇ。なにか良い趣向とお安いパックでもないものだろうか。