ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHK「自殺と向き合うー生き心地のよい社会のために」

 NHKの「緊急提言・自殺対策」の三回分を夜中に起きて全部見た。各都道府県には精神保健福祉センタ−があり、保健所も相談にのってくれる。社会福祉協議会もそのきっかけになり得るし、未遂でかつぎ込まれた病院にはMedical Social Workerの人たちが(病院によって差はあるけれど)きっかけを作ってくれる役割を担ってくれている。
 しかしながら、そこには根本的な問題があって、本当に必要とするような人たちは積極的にそうしたカウンター・パートを見付けるアプローチをしようという意欲すら失っていることがしばしばだということだ。それはそんなニーズのない時に、そういう施設があちらこちらにあることを知っていればまだしも、多くの人はこんな施設が存在していることも、あるいはその存在は知っていても、そんな役割を果たしてくれるのだと云うことも知らない。臨床的にはこれら機関の存在を広く知らしめることは不可欠だろう。その為には11月30日に東京都と政令市を中心に全国77カ所のハローワークで実施されたワンストップサービスはアウトリーチという観点からも非常に有効だと思うけれど、これが恒常的に実現すると大いに違ってくるだろう。その点では現政権が内閣府参与として清水康之湯浅誠に委嘱して行動してきていることは大いに評価されなくてはならない。
 番組中に清水が11月30日の実施を全国レベルで実現したいと説明することに対して内閣府の職員が「地方の力が重要だと云うなら、こっち(国)からこの日にどうしても実施しろと云うのは本末転倒だろ!」という言いがかりは彼が主張している「支援者中心ではなくて当事者中心に考えよう」という姿勢の正反対にいる姿だということができる。考えてみると私はいつもその接点で譲ってきてしまったなぁと悔悟の念が残る。
 実は上述した施設のそうしたサービスでも大変におざなりになってしまっているところも存在する。精神保健相談といっていても地区の精神科医が非常に限定した時間に来るだけで、話を聞いてくれるカウンター・パートとしての自覚を持っているとは思えない人がいたりしたら、それはむしろ絶望感を増すだけにしかならない。
 ひとりの命は偶々そこにいたひとりだけのものではない。