ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

また、歩く

 昨日の夜から鼻水が止まらなくて、なんだかボーっとしたまま朝を迎える。午前6時半ごろに起きたものの、ねっ転がっているうちにまた眠り、気がついたのはもう朝9時ごろになっていた。
 あわてて起きて身支度をしたものの予定はかっきり一時間遅れ。京都駅まで歩き、JR奈良線に乗って宇治を目指す。京都から宇治に行くにはJRもあるし、私鉄もある。伏見の駅でどっと人が降り、京阪からの道路にも人があふれている。なんだろうと思ったら伏見稲荷が目の前。なるほど、あっちにいってもこっちにいっても見たい場所ばかりだ。
 まず今日の目的地は世界遺産の二連荘。平等院はとんでもなく広いわけでもないし、渋くて良い雰囲気なんだけれど、築山のような中に隠れているミュージアムがとても出来が良い。このコンセプトの作られ方は驚くほど優秀だ。惜しむらくはその辺の寺と同様に写真不可という、理由のわからない規制である。鳳凰、その他を写真にして収めたい誘惑に駆られる。
 本尊はそれはそれは立派な阿弥陀様で鳳凰堂が建立された当初が多分きらびやかだったと思われるけれど、今の方が渋くてはるかに良いと私には思える。ミュージアム内で建立当時の色彩を施したと思われるCGを見ることができる。これは果たして生まれてはじめて見たのだろうか、それとも修学旅行の時にも訪れているのだろうか。まったく記憶がない。本尊のガイデッド・ツアーが有料である。
 宇治川をわたり宇治神社の上にある宇治上神社も大変に小さな神社だけれど、あまり見慣れない創られ方をした神社で、これまた世界遺産である。
 ここから先、源氏ミュージアムというのがあるそうだけれど、その辺は私の興味とすれ違っているので、パス。
 京阪宇治駅に下り、今度は東福寺を目指す。この辺まで来たらそろそろ腹が減る。京阪宇治線盲腸線で、中書島で終わり、ここから京都方面に行く電車に乗って東福寺で降りる。駅前に何軒かある食堂の中で「丹波屋」という店に入る。鯖すしとうどん定食を食す。
 冬は何しろ特別公開がいくつかあり、これが美味しい。今日の最初の目当ては東福寺・退耕庵という寺なり。これが常日頃は非公開なのだけれど、この冬は公開されている。うかがってみると、入り口に若い人たちが何人も腕章をつけている。みると学生ガイドと書いてある。東福寺臨済宗東福寺派本山だからなんかそうした宗派に関係した大学の学生さんなのかと思ったら、そんな関係ではなくて、大学のサークルなんだという。私たちとおじさん一人の三人を案内してくれたのは男性の学生で大変によくこの退耕庵を知っていてさすがである。
 ここで私たち三人がとても喜んだのはやっぱり、小野小町が自身で作ったという小野小町百歳像というもの。高さわずか20-30cm程度の像だけれど、もうしわしわのおばあさんの像なんである。退耕庵の入り口右側には小野小町があまたもらったラブレターを納めたといわれる玉章(たまずさ)地蔵がまつられている。これは地蔵というには結構でかい。
 今回、東福寺で特別公開されているのはもう一ヶ所、即宋院だあけれど、あまりにも退耕庵の学生ガイドの彼がうまくガイドしてくれたものだから、こちらでは興味はあんまりわかなかった。通天橋も400円を出して見に行く。開山堂もなかなか渋くて紅葉の時が最高だとはいえ、こうした時期の枯れた景色も、人がいないこともあるけれど捨てがたいものがある。
 駅前に戻ってくるともう5時を超えている。とりあえず宿に帰って一休みすると、テレビのニュースが元阪神タイガース小林繁の突然の死を報じている。なんとまだ57歳。