ほぼ足りてまだ欲 その先

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活動報告書

 東京都が2016年オリンピック招致活動の報告書を発表した。605ページに及ぶ。その大半はもちろんどんな活動をしたか、の過去の報告に費やされている。
 問題は第二部第4章第3節「東京の招致活動の課題と今後への提言」である。ここに書いてあることを読むと招致活動をするにあたって心得なくてはならないであろう項目がそのまま書いてあるという印象が強い。150億円もの金を使わなくては気がつかなかったというのだろうか。そのために「長野でも経験を積んでいる」はずの電通を起用したのではなかったのか。こんなことを今更書き連ね、こうした経験を得たのだから、2020年のオリンピック招致にも名乗りを挙げないと損だ、という持っていき方は如何かと思う。

(2009年)9月から10月にかけて実施した内閣府の調査でも、東京都区部で81.9%、日本全国で89.4%と極めて高い支持率が得られた。
 ちなみに、1964年オリンピック開催2年前の昭和37(1962)年2月に東京都が実施した調査では、賛成の割合が72.3%であった。(出典:オリンピック東京大会に関する都民の世論調査)P.417

 この比較は実施が決まっている時期に取った前回の東京オリンピックの調査での数字よりも、まだ決まってもいない2016年オリンピックに対する賛成の方が数字は高いといっている様だ。そのあとに各マスコミが実施した調査結果、そしてIOCの調査を掲げているがその違いは時期が早すぎたのであって、近づいて盛り上がっていたんだと結論づけているらしい。しかし、今行われているヴァンクーヴァーのオリンピックへの世論の支持率は候補3都市の中でも最低の58%だったじゃないかと記している。
 419頁には日本は成熟国家で価値観は多様化しているから、圧倒的多数の賛成を得るのは稀だとしている。

内閣府の調査結果から分かるように、都民・国民は潜在的に日本での国際スポーツ大会の開催をのぞんでいる。しかし、日本人の国民性から、それが自ら進んで招致活動に携わり招致を実現させようという能動的な行動にまでは直ちに結びつかない。

 多分そんな傾向はあるだろう。ないとはいわない。ということは前回の(報告書がいう)あんなに低い支持率の中で開催されたオリンピックは国民の総意なんかじゃなくてトップダウンでやったからできたんであって、これからもそうしなくちゃできないよという意味になるのではないか。
 一方マスコミは収支を見ていてこのように報じている。

報告書によると、招致費用150億円は税金100億円、企業からの寄付金など民間資金50億円で賄う計画だったが、景気低迷の影響で民間資金が41億6000万円にとどまり収支不足となった。このため、招致活動の主な契約先である電通から赤字相当額を借り入れる。(時事ドットコム 2010/02/24-20:13)

 しかし、電通にどの様に返済していくのかというスケジュールについては触れられていない。
石原慎太郎:「日本はずっと五輪をやらなくていいのかね」(msn産経ニュース2010.2.24 21:12)
 報告書はこちらにpdfで公開されているが、わざわざ落として読むことはお奨めしない。