興味深い調査だけれど、これには様々に考えさせられる
世界の雑記帳:子育てに最高の海外赴任先はオーストラリア=調査
3月11日、銀行大手のHSBCが実施した調査では、海外駐在員たちが「子育てに最も適した赴任先」として選んだのはオーストラリア。
[キャンベラ 11日 ロイター] 銀行大手のHSBCが実施した調査では、海外駐在員たちが「子育てに最も適した赴任先」として選んだのはオーストラリアであることが分かった。美しい海岸やアウトドアライフの充実、現地の学校環境などが理由という。
調査は50カ国・地域の計3,100人以上の海外駐在員を対象に実施。育児環境や現地への溶け込みやすさ、養育費、子どもが屋外活動をして過ごす時間などを基に、子育てに最も適した赴任先をランク付けした。
それによると、赴任によって家庭生活の質が向上したとの回答が最も高かったのがオーストラリア。全体での2位はシンガポール、次いで香港、アラブ首長国連邦(UAE)、米国、英国となっている。
また今回の調査では、米国に赴任した場合、子どもたちがジャンクフードを食べる機会が増える傾向にあることも分かった。(毎日新聞 2010年3月12日 7時02分)
これは多分に調査をした主体がHSBCだという要素がとても大きいだろうという気がする。調査対象となった3,100人の海外駐在員のそもそもの出身地がどこなのかという要素がこの調査には欠けている。
英語圏から赴任する海外駐在員が多分中心だろうという観点からみると、豪州は昔の英国の要素を充分に満たしていながら、自然が豊富で、その上形式張っているところがほぼ皆無、カジュアルそのものだからそれはそれはリラックスできるといったら良いのだろうか。
日本から出掛けたら、それはそれなりに大変だ。学校のことを考えると現地校に行かせて、そこで大きな壁にぶつかるだけではなくて、慣れた頃にまた帰国してこれまたとんでもなく大きな壁にぶつかるわけで、ストレスはやたらでかい。これは日本の学校制度、日本社会の閉鎖性、未熟性にも要因がある。
だから、日本なんかに帰ってこない前提で、あるいは成人してから日本に帰る前提であれば、豪州での子育てにはある種の優位性があるといっても良いだろう。
それにしてももちろん各国の例に漏れず、若者の中にはドラッグやその他の問題が大きくクローズアップされてきている。高校を終えるに際してのHSC(High School Certificate)の試験が与える重荷とその結果によるレッテル貼りは大きなプレッシャーになっていることは間違いないだろう。
こういう記事が蔓延すると誤解する親がいて、「日本でうまく行かないこの子を豪州に送り込んだらどうにかなるかもしれない」という思い込みを、送り込み業者の口車に乗せられて持つ。一人で送り込んだだけでうまく行くなんて子は、それこそ日本にいたってうまく行く。日本でうまく行かない、その解決策が見つからない、負のスパイラルに入っている子どもにまたプレッシャーをかけてうまく行く可能性は低い。
親も良くないけれど、送り込み業者はもっと良くない。そして得てしてこういう業者は表面がよい。多くの親子が苦労している。