ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

本屋

 昨日、新宿のBook 1stで入手を忘れた「atプラス03」を入手するために築地から京橋の八重洲ブックセンターまで急いで歩く。週末のこの本屋さんは結構空いていて、これで大丈夫なんだろうかと心配してしまう。4階で当初の目的物を手にしてから日本史近現代史(この棚は本当に良く動くなぁ)の棚で、高価な本を見付けてしまって寒い懐に風が吹き抜けながら入手。

atプラス 03

atプラス 03

 特集が「生きるためのアート」で、巻頭インタビューが内田樹なんである。今流行の人の登場と、かたや柄谷行人の連載「世界同時革命」の完了を見ると路線切り替えがこれで完了したような気がする。


写真花嫁・戦争花嫁のたどった道 (日本女子大学叢書)

写真花嫁・戦争花嫁のたどった道 (日本女子大学叢書)

 「写真花嫁・戦争花嫁のたどった道」というタイトル通りに前半はいわゆる「写真花嫁」、後半が「戦争花嫁」についての論文に割かれている。後半の戦争花嫁についての各著者は見慣れたメンバーばかりだけれど、どうしてもこの本を手に入れたくなったのは、これまでその名前は何度も目にしているのだけれど、書いたものを見たこともなかった戯曲「Tea」の作者、Velina Hasu Houstonの「民間親善大使ーアメリカの日本人戦争花嫁」という論文が入っているからなのだ。彼女はこの本の著者略歴によると刊行時点では南カリフォルニア大学演劇学部教授だというが「戦争花嫁」というキーワードでは随分前から聴いていた名前だった。このエントリーを書くためにググってみると、彼女の「Tea」は昨年の9月に下北沢の小さな劇場で上演されたんだそうで、これは残念なことをした。
 はなはだ残念なことにこの論文の原典がなんというタイトルで書かれたものでどこで入手できるのかという情報が見付けられない。という思いを持つのは、彼女の論文のはじめの2-3ページを読んだだけでこの邦文訳が全くこなれていないという印象を持つからなのだ。原文ではどう書いてあるのだろうかと隔靴掻痒たる気持ちに陥る。
 この「日本女子大学叢書7」という本は一体誰を対象として編集されたものなのかということを考えると非常に中途半端だという印象だ。この邦文訳の中途半端さもあるけれど、それぞれの論文のレベル、あるいは書かれ方がまちまちだからだ。まえがきを見ると2008年に日本女子大で開かれたワークショップで発表された口頭論文の加筆修正論文集であると断ってあるのだから仕方がないのだけれど、この分野についての研究成果が非常に限られていることからいうと、もうそろそろ一段レベルアップされた著作・発表が実現されなくてはならない時点に来ているという印象を強くする。その意味ではAustralia War Memorialの田村恵子の論文は一から解きほぐすという部分のもったいなさはあるけれど、相変わらず興味深い。
 Velina Hasu Houstonについてはこちらも興味深い。