ほぼ足りてまだ欲 その先

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ずるいと見るだろう

 政府は、宮本雄二・駐中国大使の後任に、丹羽宇一郎伊藤忠商事相談役(71)を起用することを内定した。
 15日にも閣議決定する。戦後、中国大使への民間人起用は初めてとなる。民主党政権が掲げる「脱官僚依存」を主要国大使人事で実践した形だ。
 宮本大使の在任期間が2006年3月の就任以来4年を超えたことで、鳩山政権は後任選びに着手。鳩山首相の「中国重視」を踏まえつつ、外務省以外からの起用で人選を進めた。
 その結果、丹羽氏が伊藤忠商事社長、会長として中国との貿易や投資などに積極的に取り組み、中国政府や経済界との人脈も豊富とされることから適任と判断し、菅新政権もこうした経緯を踏襲することにした。(2010年6月7日14時35分 読売新聞)

 昼頃からテレビでも報道されていたわけだけれど、民間人も民間人、伊藤忠生え抜きの元社長・会長を歴任した71歳を大使に起用するというのはどういうことなんだろうか。確かに伊藤忠日中国交正常化以前から対中国に入り込んでいたんだろうし、彼は経営者だったんだから中国でのつながりもいくつも持っているのに違いない。
 しかし、ことほど左様に民間企業、それも商社の場合には各国で独特のつながりを持っているだろうことは容易に想像がつくし、国内企業との間でもそれぞれがそれぞれに得意企業、あんまり繋がらない企業という関係性を持っている。
 しかるに、外交官というものは国を代表しているのだから、任地においても、そして本国の本省に対しても、そして日本企業の多くとも均等に付き合って行かなくてはならないのが建前の筈だ。「建前」と書いたのは当然、そうはいいつつも今までの外交官が必ずしもそうでないことが間々あるからだけれど、彼の場合はもう最初から「伊藤忠」という看板が背中に貼り付いているわけだ。
 脱官僚が一つのテーマとはいえ、こうした解決法はあまりにも色が濃すぎやしないかとはなはだ疑問だ。これじゃ、まるで入札に際して仕様書を良く見たら、特定のメーカーにしか作れない方式になっているかの如くと見えないだろうか。そんなことはあり得ないといくらいわれても、そんなイメージを持たない人はどこにもいないだろう。
 さっそく日本経団連米倉弘昌会長は今日の記者会見で苦言を呈していたようだ。

「異例中の異例で驚いた。一国の大使となると様々な利権が絡む可能性もあると思うので、中立・公正というような原則を貫いていただきたい」と語った。(日本経済新聞 2010/6/7 16:05)