ほぼ足りてまだ欲 その先

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War Memorial

 豪州のキャンベラに行くとWar Memorialという施設がある。日本語では「戦争記念館」といわれているけれど、こういう施設は日本にはない。強いて上げるとこれに近いのは靖国神社遊就館かもしれないけれど、思想的な問題がここには色濃く反映されてしまっていて純粋に資料を保管する、きちんと記録として残すという施設としては認識しにくいものがある。もちろんその旨を理解した上で利用すればよいのだけれど、常にそれを意識し続けるというのは結構面倒なものがある。
 豪州は英国がトルコに攻め入ったガリポリの闘いから出兵をし続けていて、これまでに西側が加わったいわゆる戦争、侵攻(侵略)すべてに軍を出している。
 このWar Memorialの直線道路の両脇にはすべての出兵で犠牲になった兵士たちをそれぞれ慰労する記念碑が建っている。そのひとつひとつを見ながらどんな戦争があったのかを見ていると随分忘れていることがあることに気がついて驚く。もうニュー・ファウンドランド紛争なんてここ何年もその活字すら見た記憶がない。
 ここには日本人の研究者の方もおられて、豪州に足をすえた研究を続けておられる。私たちの国では純粋に資料保管という施設として、ようやく国立公文書館が興されたけれど、なにしろ戦争直後に帝都の空が煙に覆われたというくらいに殆どの資料を燃やしてしまったものだから、歴史としても欠落した部分として将来においても禍根を残し続けることになるだろう。