ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

雰囲気がある

 昨日はとても久しぶりに北千住に行った。どうしてかというとここには東急ハンズと書籍の紀伊国屋がある。一昨日永年使った急須の取っ手に鍋を落としてポキッと割ってしまったものだから、この修理のための接着剤を捜していた。こういう類のものを東急ハンズが持っていないわけがない。それで北千住である。
 北千住は今や大変なターミナル駅になっていると云うことはこの界隈の人たちにはよく知られているけれど、東京でも余り縁のない人たちにはあんまり知られていない。なにしろ、JR常磐線東武伊勢崎線だけだったのが、日比谷線が通り、千代田線が通り、挙げ句の果てにつくばエキスプレスまで通ってしまったものだから、一気に大きなターミナル駅になっている。昔ながらの飲み屋街も残っているし、旧街道沿いの商店街もあるけれど、一歩裏に入れば昭和30年代そのままに残っているという、一気に何もかもを見ることのできる街になっている。
 同じ東急ハンズでも商品の並びは殆ど同じなのに、お店の雰囲気ががらりと異なるのは一体どういうことなんだろうかととても興味深いものがある。けれど、お店の方の商品知識はもちろんさすがの東急ハンズだ。でもやっぱりどことなく雰囲気が違う。それはやってくるお客さんの雰囲気にもあるだろうし、働いておられる方々の雰囲気もあるんだろう。
 接着剤はお知り合いから教えて戴いてエポキシ系の陶磁器でも完璧と書いてあるセメダインのハイスーパー5という溶剤を混ぜ合わせるものを発見。そして今話題の(私の中でだけかも知れないけれど)セーラーの超微粒子顔料インク(ナノインク)を捜す。極黒(きわぐろ)と青墨(せいぼく)というなんだかお線香のような名前がついた二色があるのだけれど、青の方はカートリッジしかない。しかし、残念ながらセーラーの万年筆を持っていない。で、その横に1050円也のハイエースというまるでワンボックスカーのような名前の極安鉄ペンを売っている。
 次はその上の回に上がる。電化製品の大規模店のようなのがあって、カメラが並んでいるのを見たものだから早速見に行く。ところが値段を見て飛び上がった。無茶苦茶高いのだ。こうした店だときっと安いのに違いないと思い込むという習慣は危ない。CanonPowerShot SX30 ISが54,000円以上の値段だ。これは今だったら最安値は38,000円台で探せる。と、思っているところに女性の店員さんが来て「どうですか?」という。思わず「このカメラ、良い値段するねぇ、今時4万円以下で普通に買えちゃう」と云ってしまった。多分彼女を傷つけた。彼女に依れば富士フイルム FinePix HS20が米国で既に3月に出るそうで、HS10はすでに製造中止になったのだそうだ。あれは手動ズームで30倍。
 紀伊国屋に逃げる。私は本屋さんに入ると大体ジャンルの置かれ方を直ぐに読めるのだけれど、ここではなかなか読めない。しばらくあるいてみて分かったのはバランスが違うのだ。わが町の本屋に近いものがある。雑誌とコミックのウェイトが高い。どうしてもそういうことになるのはニーズがなせる技なのか、あるいはそういう品揃えだからそういうことになるのか、これはいつまで経っても鶏と卵の関係なのだ。「あそこに行ってもこういう系統の本は少ないから、大きな街の大きな本屋に行くしかない」となってしまうのだろうか。
 で、さっきからずっと気になっていたのは、どこのフロアーに行ってもどうしても気になる匂いだった。とても良い匂いで思わず舌なめずりをしたくなる、ある種の匂いなんだけれど、なんだか思いつかなかった。それがエスカレーター横にある掲示で合点がいった。地下一階で北海道食品展をやっているんだそうで、そう、この匂いはイカめしの匂いそのものだった。もっと早くやってきて昼飯をあれにすれば良かったなぁと、慌てて喰ったカップヌードルを恨むのだ。
 セーラーの万年筆、「ハイエース」は細字しかなくて、なんとも情けない書き味。まず軸が無茶苦茶細いこと、キャップを後ろに刺すと頭でっかちでバランスが極めて悪い。1050円なんだから文句言うな、と啖呵を切っているという雰囲気の万年筆。これじゃそのナノインクの気分がわからないのだ。どうやらかつてはこの種の顔料インクは各メーカーが作っていたらしいけれど、万年筆をしばらくそのままにしておくと固まりやすいのだそうだ。そういえば近頃つけペンというものを使った記憶がないな。
 北千住にはこのマルイの他に駅にはルミネがあって、そこにはスーパーの成城石井まで出店している。