ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

虚しい話ではありますが

こんな記事が出ている。

 経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が3日、福島県を訪れ、佐藤雄平知事と面会し「原発の安全規制を担当する責任者として、おわび申し上げたい」と述べた。福島第1原発の事故後、保安院長の同県訪問は初めて。
 面会後、記者会見した寺坂院長は事故について「複数の原子炉が同時に電源を喪失する事態を前提とした規制が十分できていなかった。反省している」と述べた。(以下略 msn産経ニュース2011.5.3 15:30)

 寺坂原子力安全・保安院長が「反省している」という言葉を、これまでプルトニウム燃料を受け入れて積極的協力者だった佐藤雄平福島県知事に表明し、なおかつ県知事が「今頃来たか」といわんばかりの対応をしたという茶番も遺憾だけれど、確かに寺坂院長は日本共産党の吉井英勝の質問に対して昨年こう見得を切っていた。

衆 - 経済産業委員会 - 平成22年04月09日
吉井英勝
 実は、原子力産業会議が1960年に、これは茨城県東海村での原発事故について想定した、この場合は今日の普通の原発の約十分の一ぐらいの、規模の小さい電気出力のもので、700レムですから7シーベルトの放出で、720人の死者が出る、5,000人というふうにも書かれておりますが、数千人の障害、百数十万人規模の要観察者が出るというのが当時の報告でありました。
 これは単なる空想でないことは、チェルノブイリの事故で実証されております。過去にチェルノブイリで死者が出ただけじゃなしに、今も被害に苦しんで、日本へも治療に来られる方がおられます。この報告書は、実はそれに先立つ1957年のアメリカのブルックヘブン・ナショナル・ラボラトリーでの試算と大体同様の状況を示しているんです。
 この報告書について、私は1999年に科学技術委員会で質問したんですが、当時の有馬科学技術庁長官は、今で言う文科大臣ですね、40年前のものなんだけれども、当時として、今だったら50年前となりますが、きちっとした科学的な技法でやられており、かなり正確に検討していると。これは大臣の答弁でした。それから、この報告書をまとめた原子力産業会議の森一久さんも国会へ来られて、私の質問に国会答弁で、これは私が中心になってまとめたんだ、今でも方法論は役に立つという答弁でありました。
 これは、やはり国から電力に指示することが大事だと思うんですね。国内のすべての原発のそれぞれについて、内蔵放射能の総量と、仮に放射能全量が放出された場合に、被曝量が7シーベルト以上の地域は何キロの範囲で、そこに住んでいる人口はどれぐらいか、7から2シーベルトの場合は何キロで、どれぐらいの人口か、それから2シーベルトから1シーベルトの場合、1シーベルトから0.25シーベルトの場合、その範囲はそれぞれ何キロで、居住している人口は幾らかと、きちんとやはりアセスメントを行っておく。試算を行って、やはりそれに対していろいろな対策も考えなきゃいけないわけですから。本格的に、東海村についてはちゃんと報告、レポートがあるわけですからね。原産会議がやっているんですよ。
 やはり、これは大臣として各電力に、そういう試算を行いなさい、こういう指示を出すことが今必要なときではないかと思いますが、大臣に伺います。
寺坂信昭院長
 私どもは、災害が発生しないように、設計はもちろんでございますけれども、運転管理、点検等々、こういったことについての充実を随時図ってきておりまして、その安全確保に努めているところというふうに御理解いただきたいと思います。

 しかし、実は寺坂信昭はその一年前は経済産業大臣官房商務流通審議官だったわけで、別に専門家でもなんでもない。もちろん霞ヶ関の人たちの殆どはそんなもんだ。
 実はそれを報じるマスコミの方だって、担当クラブが転々と変わるわけで、発言する方も、それを受けて書く方も昨日今日慌ててそれらしく振る舞う立場の人たちばかり。
 で、よぉ〜く考えてみると、政治家諸兄もまさにそのまんまなわけで、こうして見ると、一体全体、専門的な知識を持っている人は誰なの?ということになるのだけれど、それがメーカーの技術者であり、あとは学者先生しかいないということになる。その僅かな連中が自分の仕事を失わないために頑張るわけで、それが「原子力村」たる所以だということになる。
 ところが実は一般的な廃棄物処理の世界においても、この構図は全く変わっていなくて、霞ヶ関厚労省国土交通相がからんでいても、実体はあんまり変わりない。そして施設的なことを知っているのはメーカーの技術者であって、それにお墨付きを与えているのが、ある意味「御用学者」でもある学者先生という姿にある。
 こんなことを書くことになるから、ある意味「虚しい話ではある」のだ。
追加:
 三菱重工業株式会社といえば、東芝、日立と共に原子力御三家と呼ばれるメーカー。社長が宣言!

原子力については、国内では「新たな安全基準の制定、それに対応したプラントの設計、そして社会的に受け入れられることが必要」とし、減速はやむを得ないと予想。一方海外では「福島第一の事故の後も、エネルギーとして原子力を必要とする国もある」と述べ、今後も推進する考えを示した。」(電気新聞2011/05/02)(こちら