ほぼ足りてまだ欲 その先

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「大磯清談」

 1952年に岡倉書房新社という出版社から出た本でこのタイトルのものがあるけれど、私の手元にあるのは1956年に文藝春秋新社から出版されたものである。岡倉版と文春版との違いがなんなのか私の手元では全くわからないのだけれど、こちらは中身は吉田茂とその息子の吉田健一との対談である。「政談」と「清談」を掛けているのかも知れない。
 ニクソンが来日した1953年の話が出てくるところを見ると前者とこの本は中身が違っていることになる。
 概して中身は大したことを語ってはいないのだけれど、チャーチルの母親がかつて日本にいたことがあるとか、だから日本の絵を送ろうと思ったから、近所の安田靭彦に富士山を描いてくれと頼んだ。すると安田が「富士山といえば横山大観の特許だ」といったけれど、吉田茂は「大観は嫌いだ」といって、安田に富士山を描いて貰ったといっていたりする。
 林房雄吉田茂から貰った葉巻にカビが生えていたのだけれど、礼状をどうしたら良いものかと思案投げ首で健一に語ったという辺りは笑える。
 そういう戦後生まれの私なんかじゃ全く知らない逸話が満載という意味では大層面白い。
 吉田健一は私の亡き父と同じ年齢だけれど、65歳で他界している。麻生太郎の義理の兄ということになる。