ほぼ足りてまだ欲 その先

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40年

今日は我が家の出発記念日である。すなわち結婚記念日ともいう日である。1972年の今日、みなさんにお披露目をした。当時私は25歳で妻(さい)は24歳だった。どうしてこの時に結婚したのかというと、私の死んだ明治44年生まれの父が「25歳までは我慢しろ」といったからで、至極従順な子どもだったことがわかる。
実際に当時暮らしていた町の役所に届け出を出したのはそれから一ヶ月後の年明けだった。当時は自転車操業のような暮らしで、貯金なんてあるわけがないから毎月、かつかつの暮らしだった。とはいっても、それが当時は当たり前で、金のある新婚所帯なんてあるわけがない。今から考えればつつましい生活だった。40年経ってみて明らかに増えているのは書籍のような全く金にならないようなものばかりだ。しかも、その価値を認めているのは私だけで、家の中の誰もそれに気がついていないという実に無残なものである。
昨日、たまたま京都・現代美術館というこじんまりしたところで「木村伊兵衛」の写真展をやっていて覗いたら、私たちの子供の頃の写真が多く展示されていて、実に見入ってしまったのだけれど、私たちの子どもの頃はみんなボロをきてちぐはぐな格好をしていたけれど、ずいぶんたくさん、街に溢れていたんだなぁと感慨が深い。しかし、今ほど一人一人の心を考える余裕が全くなかったような気がする。きっと今と同じように、傷ついていた子どもたちがいたのではないだろうか。しかし、振り返ってあげる余裕が社会にも家庭にもなかったのではないだろうか。
40年は長いようで短くて、短いようでとても長い道のりだったかもしれない。あっという間だったような気もするし、ひとつひとつのことを思い出してみるとかなり長かったような気もするのだ。