ほぼ足りてまだ欲 その先

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社会保険

 どうもこの期に及んでこの国では社会保険制度なんていらねぇじゃねぇかという方向に論調を持って行こうとしているかの如きムードを感じないわけに行かないでしょ?
 片山さつきという元大蔵官僚だった自民党の議員(お金持ちの奥様でもあります)がまず生活保護の不正受給者の話を始めたと思ったら、それを新潮、文春は言うに及ばず産経系は新聞だけでなくてラジオ・テレビまで総動員し、それにフォローする形でほぼ全部のマスコミが不正受給者があっちにもいる、こっちにも、こんなところでもと暴き立て大会を開催していた。しかし、実際にこの国の生活保護受給者のうちの1%にも満たない程度の不正受給者の存在が知られているに過ぎない。とはいえ、これは非常に問題である事は確か。これだけパターナリズムを煽っていながら、受給者数はどんどん増えているのが実態だ。だから、彼らのあの不正受給キャンペーンがなかったらもっともっと受給申請者はいた可能性があると考えて良いだろう。
 「国のお世話になるようではご先祖様に顔向けができない」とパターナリズムに落ち込む困窮者の存在は誰も誤魔化す事はできない。
 現アベシンゾー政権の副総理である麻生太郎は4月16日の衆議院予算委員会で「私は72歳だが、病院に行ったことはほとんどない。そうじゃない人って世の中にたくさんいるじゃない。飲みたいだけ飲んで、やりたいだけやっていい加減に生きて、それで72でくちゃくちゃになってる人がいっぱいいるでしょ。そういう人たちが病院で払っている医療費を俺が払ってる。俺が払ってるんだと思うと、なんとなくばかばかしくなってくる」 と発言した。マスコミは一回ちょろっとこの発言に振れただけだ。しかし、これは重要な問題を含んでいる。
 政権の副総理大臣を務めている人間が社会保険についてこの程度の考えしか持っていないのである。大学の学部学生レベルでも恥ずかしくてこんな見解を述べる事はないはずだ。
 この国の国民健康保険は米国のオバマが理解しているように、すべての国民の健康をすべての国民が負担して保っていこうという相互補助思想の中にある。
 麻生太郎が今ここでこの発言をした裏には、TPPで早晩日本の国民皆保険がやり玉に挙がる可能性がないとは言い切れないし、富裕階級の驕りが常に彼の中に渦巻いているという事情があるだろうことは想像に難くない。思い返せば彼が首相だった時、数々の非常識な振る舞いの指摘に、わざわざ街中に出て行ってタクシーの運転手と話をするところを取材させた事があった。あんな見え透いた茶番劇を演じる事でどうにかなるんだと本気で思っていたレベルの男だ。
 日本共産党の「赤旗」が2011年の4月の麻生太郎政治資金団体が会計報告に計上した交際費の中には銀座や京橋の高級鮨屋や料亭クラブの支払いが含まれていて顰蹙を買った。そういう生活を普通だと思い込んでいる彼は国家の社会保障制度一つを語る事のできない、単なる嫌みな金持ちオヤジに過ぎないのだ。
 イヤ、彼だけではなくて、この国のいわゆる政治家といわれる者達の中にはかなりな割合で、国家の政治を語る資格すら備えていない者がいるという事だ。