ほぼ足りてまだ欲 その先

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放置

 靖国論争が喧(かまびす)しいが、旧日本軍の戦死者の遺体はいまだに116万体、全体の48%がまだ異境の地に放置されているのだそうだ。それに引き替え米国軍はベトナム戦争まで含めた戦死兵50.6万人のうち未帰還がわずかに17%だそうで、その神経の使い方には大きな差がある。あれだけ野放図に戦線を拡大してしまって、揚げ句の果てに米軍に蹂躙されてしまったのだから、当時はとても回収するという余裕がなかったことは事実だろう。なにしろ外地に残留した兵が直ぐさま内地に帰還することが許されなかったくらいなのだ。
 しかし、戦後65年以上経っているが国が直接遺骨収集に動いているわけではいない。そういわれてみると遺骨収集団だとか、慰霊ツアーだとかが国主催で行われたという話は聞いたことがない。北朝鮮への慰霊団だって、NGOが絡んで行われていたような気がする。ひょっとすると国が後ろにいるけれど表立ってやると他の旧戦地で戦死した兵士たちの遺族から直ぐさま「こっちはどうするんだ」という反響が出てしまうからなのかも知れない。
 連合軍による占領期間が終わって直ぐに恩給が復活したのは確かに選挙の票田として開拓されたという裏があるかも知れないけれど、残された遺族の生活自立としては有効だっただろう。しかし、それも直ぐに既得権益化する。
 箱の中に石ころが入っていただけだったという話は良く聞いた。うちの叔母さんの旦那はまさにそれだったそうだ。実質にはどうかは別にして、形を整えればよい、という意識だったのだろうし、あの頃はお国がそうだといったらそれまでだったことは事実だ。
 「なんだよ、石ころ一つじゃねぇか、バカにするな!」といえる環境じゃない。「靖国で逢おうなっ!」といって突っ込んだということになっている。「とつげぇ〜きっ!」といって無駄死にさせられた人たちの恐怖はいかばかりだったか。その挙げ句の果てにそのまま置き去りだ。ネズミ・カエルを食べられたのはよい方だ、赤痢になって、ぐだぐだになってとうとう食い物もなくなってのたれ死にの揚げ句に朽ち果てるのだ。悔しい思いしか残らないだろう。戦傷を負ってもう動けないからと、上官によって撃ち殺されてしまい、あとは放り出されたままだ。
 揚げ句にどこの誰だかわからないから灰になるまで焼かれて千鳥ヶ淵に保管か。
 何が「英霊」だ。東京にいてぴかぴかの軍靴をカツカツ鳴らして、精神論ばかり振り回していた連中と一緒にされてたまるかと怒っているぞ。彼ら軍官僚の思想はそのまま戦後の霞ヶ関に立派に継承されている。精神論ばかり振り回して真実から意識的に眼を逸らし、この国をあらぬ方向に持っていった連中をそのまま踏襲しようとすることがこの国の誇りなのか?そんなはずはないだろう。そんなことが正当化されてたまるか。