ほぼ足りてまだ欲 その先

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脱却

 昔から貧困からの脱却はなかなか難しかった。そして一旦貧困の中に身を置いたら偏見の目からはじき出されて、差別されてきた。なにしろその昔は牢に入れられたくらいだからね。ま、今でもある意味ではそれと一緒で、人の目につかぬところに追いやられる結果となる。そこから脱却するためには誰かが犠牲になったりしてみるけれど、結局脱却の仲間にはなかなか入れてくれない。
 娘が自分から苦界に身を沈めることになったりした。一度そんな立場に身を置いたらそこから脱却するなんてほぼ不可能だった。抱えた側からしたらすでに投資がかかっているからできるだけ働かせて金を回収しようとするけれど、なんだかんだと理由をつけてそれを長引かせる。それを籠の鳥と表現した。籠の鳥はまだましだ。仕事という名前のお客を取ることがない。それも一人じゃなかったわけだ。その辺の詳しいことは今でも落語の古典を聞いたらいくらでもその詳細がわかる。その題材には事欠かない。「居残り佐平治」「お直し」「紺屋高尾」「明け烏」「文七元結」「つけ馬」・・・枚挙にいとまがない。
 身を売るのだ。何度でも売る。お金を残した花魁ならまだしも多くのものは無縁仏となっておわる。投げ込んだ寺だったなんて話まで残っている。この世界に一旦足を突っ込んだらなかなか抜けられない。白い馬に乗った王子様はそうそう現れない。
 世界で最も古い職業はこの世界だといわれている。本当かどうかは知らないけれど、そういうことになっている。誰もがそれを知っていて、今でもいわゆる「風俗」のことをいう時に言い訳のようにそれを口にする。誰もそれが本当かどうか証明してはくれないけれど、そういうことになっている。それで自分を正当化している。
 そういう時代だったのだから、それが正当で、当たり前だといっている。いや、今でもそれは当たり前だといっている。米軍のグアムへの移転話の時に、硫黄島波動だといったら、遊ぶ場所がないからダメだという。遊ぶ場所というにはそういうことを意味していた。維新の会の訳知り顔の橋下徹でさえも、戦争になったらそういうところがあるのは当たり前だといっていた。
 それは男のサガだから、それで良いのか。その代償として金を払ったからそれで良いのか。戦時の通貨代わりとした軍票で払って、それがまさに紙切れになってしまったのはそれはそれでそういうことだったからしょうがないのか。
 生活保護は嘘をついて受給している奴がいるからやめた方が良いのか。そんな世界最古の職業に就いていた奴の中にはそのまま軍人と結婚できた奴だっていたのだからそれはむしろ恵まれた職業だったのか。
 支離滅裂の印象を免れないだろうけれど、肯定する気になるのが不思議だよ。