ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

見て見ない振り

 世の中は見てみない振りをしていないと「変わり者」といわれてつきあう人もいなくなる。昔の職場で空出張を繰り返して裏接待費を造り、そうでもしないと営業は成り立たないと豪語していた部長がいたけれど、そのから主張の手続きをやらされていた女性社員がそれを苦に思って人事にそれを告白したら、その女子社員が「変わり者」扱いをされていたことがある。見てみない振りをしないといけなかったらしい。
 慰安婦の問題もみんな見てみない振りをしていた。1930年代から、軍がやることは何でも見てみない振りをしていなくては「変わり者」どころか怖いことが身に降りかかる時代だった。なにげない戦後の出版物の中にもそんな話はいくらでも出てくるし、映画の中でも語られていた。今の時代になったらみんな口が堅くなっているけれど、戦後の安堵感の中で、巷では平気で語られていた。戦後生まれのこの私だって、そういう風潮の中で育ったのだから「ピーや」という言葉を聞いたことはある。
 なにしろ大正年間でもあの大飢饉の頃、農家から何人もの人が田舎から借金の形に苦界に身を沈めるということが普通にあった。そういうことがなくてはこんな言葉も残らない。だから、日本の国内からも女性が戦地に送り込まれた。みんなそんなことは知っていた。そうでなかったらどうして敗戦すぐにRAAを組織しようという発想が生まれたりするというのだろうか。
 なかったことにしてしまうというのはあまりにも潔くない。
 この引用先を読んでみても良いんじゃないかと思ったものだから、敢えてここに書いておく。http://d.hatena.ne.jp/dj19/touch/20121213/p1