2015年2月5日の参議院予算委員会で元みんなの党の松田公太(今は「日本を元気にする会」の代表)が質問に立った。彼は三和銀行からタリーズ・コーヒー・ジャパンの創業者。例の同志社大の中田孝教授のルートをなぜ使わなかったのかという質問である。岸田外務大臣はまったくつまびらかにできることではないと回答を拒否。
では安倍晋三はどう思うか、という松田の質問に対しての安倍晋三の答えはこれ。
安倍:こういう出来事が起こりますと、中田さんだけではなくて、自分はこういうルートがあるから協力したいという人が結構出てくるんですよ。それは種々選択をしなくてはなりません。情報を収集するのと、相手側とのいわば解放に向けての働きかけをするのとは別ですから。
働きかけをする、あるいは、一般論として、この件とは別ですよ、ある国に働きかけをするという時に、その国がわかったと、働きかけをしましょうとなった時に、当然、これは私に任せてくださいという事もありうるわけですよ。ほかにいろいろやっていたら、瞬間にそれは信頼関係が崩れるわけですから。やたらめったらいろんな依頼に、いろんな申し出に答えてお願いします、お願いしますといった瞬間にそれがうまくいかないのは、一般論でいったらそれは常識ではないかと思います。われわれはこの問題についてありとあらゆる手段を使って情報収集をし、そしてどのようにやれば一番効果的かということをじっくり考えながらやったわけで、いわばそのような中にこういう申し出があるからといって簡単に乗るわけにはいかないわけでして、そういう申し出に乗るということはこれまでのルートを捨てるということになるわけで、これは一般論としてあるわけですから、こういう意味でわれわれはぎりぎりのところでやってきたわけです。(書き起こし:私)
安倍の回答は多分、この場で適当にあしらおうとしているのだということがよくわかる答え方である。彼は頭の中にポッと浮かんだ事を咀嚼せずに口にしている。だから、想像することはできるけれど、言葉が全く足りない。「すべての手段」という言葉を彼が不用意に使ったからこそ起こる事態なのであるけれど、これで彼が表面をなんだかんだと美辞麗句で装うが、その中身が実にどうにもならないということが露呈する。
このあと、松田は人質事件があった時に例えば家族が身代金を払ってしまったらどうなるのか、あるいは予防の取り組みをどうするのかと聞くのに対して、安倍も国家公安委員長たる山谷えり子も答えない。