ほぼ足りてまだ欲 その先

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海外への渡航は自由か

産経新聞の「中高生のための国民の憲法講座 第89講

海外渡航(旅行)の自由は憲法22条によって保障されています。
外務大臣が旅券の発給を拒否できる(あるいは返納を命ずる)場合として次のような事由が列挙されています。たとえば、(1)「外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」の場合には旅券の発給を拒否できるし返納を命ずることもできる(13条1項7号、19条1項)。
(2)「旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」には旅券の返納を命ずることができる(19条1項4号)
「著しくかつ直接に日本国の利益を害する行為」とは何を指すのかが問題となります。これを犯罪行為、例えば内乱罪外患罪や麻薬取締法に違反する行為などに限定し、旅券の申請者がこれらの犯罪行為を行う可能性が十分予測される場合に限るという見解があります。しかし、海外渡航の自由を制限する根拠は、犯罪によって国内の治安を害することだけに限定されるものではないと考えられます。
まず、わが国の独立と安全の確保はもちろん、わが国が築いてきた諸外国との信頼関係を維持することや外交・防衛問題に関する国際秩序に反しないことが重要です。
 過激派組織によるテロに対しては国際社会が連携して立ち向かうということが確認されています。国際情勢の推移や外交上の影響などについて、裁判所は十分な資料と的確な判断能力、責任を持っていないのが普通です。
 その意味から、外交の複雑性・専門性や国益確保の見地から、外務大臣の判断を尊重することには相当の理由があります。
 ケースは異なりますが、かつて最高裁判所も旅券法の規定による海外渡航の制限について合憲の判決を示しています(最大判昭和33年9月10日)。今回とりあげたテーマも、国の利益による個人的自由の制約の一例といえます。
日本国憲法】第22条1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
 同2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
 昭和33年9月10日の最高裁大法廷判決では、旅券法第13条1項の規定(著しく且(か)つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞(おそれ)があると認めるに足りる相当の理由がある者)について、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のため合理的な制限を定めたもので、憲法22条2項に反しないとされた。
 訴訟は旧ソ連のモスクワで開かれた国際経済会議への参加をめぐり、旅券発給を拒否された原告が損害賠償などを求めたもの。当時の国際情勢などからこの規定を適用して旅券発給を拒否したことは違法とはいえないとされた。(産経ニュース2015.4.12 14:44)

 最高裁判所は充分な資料を持ってないし、的確な判断ができないから、行政側としての外務大臣の判断を尊重する、というのだから、これじゃなんのために三権分立原則があるのかわからない。まぁ、尤もこの国の司法は行政の顔色ばかりを窺って成り立っているようなものだから、これに限ったことじゃないといっても良いだろう。
 しかし、このような考えを地道に中高生に説いているんだから流石の自由民主党広報紙なんである。活動としてはやっている方だ。自由新報まっつぁお!