え〜、世の中にはケチな人ってのはいるものでございますな。｢六つ知らず｣なんてことをいってまして、ものを数えるのに指を折って参りますが、六つになるというと、折角折った指を開かなくちゃならねぇってんで、これがイヤさに｢六つ｣という勘定を知らないというんです。
ケチといえば、世の中ではごく普通の行事でしたお中元やお歳暮というものを一切人様にお出ししないで、人生を過ごしてきた、なんていうおバカがおりました。なんせ人生自分一人でやってきたと思っておりますし、そんなまるで贈収賄のようなことをやるだなんて卑怯そのものだと思っておりましたので、一切そんなものは出さないと、ケチだから思っておったわけですが、結局そのおかげで、そんなものを貰うか貰わないかで部下の信頼度を決めておったおっさんに出逢ったら、イッポコペンで排除、左遷、あっちいけでございます。そりゃしょうがありませんね、ケチから出た錆って奴でございましょう。世の中、魚心あれば水心でございますものねぇ。
