今朝のNHK-BSのBBCニュースを見ていて驚いたのは先月末にインドのタタスティールが全面的に英国のプラントから撤退するといっていることだった。何をそんなに驚いたのかといったら、なにしろ英国最大の高炉プラントがいつの間にかインドのタタ財閥の経営になっていたことだったんだから、私の世の中知らないのねぇ、にも程がある。タタ財閥が驚くほど大きくなっていたんだということはうすうす風の便りでは知っていたけれど、英国最大のポート・タルボットの工場だけじゃないという。その上英国にはタイ資本に買収されていた工場だってあったんだそうで、こっちは既に閉鎖されて失業者を産んでいる。
日本の鉄鋼業界だって、中国産鉄鋼の過剰生産、価格ダンピングにエラい目に遭っている。共産主義国家で過剰生産だってんだから、如何に中国が共産主義国家でないのかがわかろうというものだ。そうはいっても、日本の鉄鋼業界だって、過去には米国マーケットからダンピングだといわれて関税を余計に払わされていたっけなぁ。今は昔、今や中国産にリベンジされちゃっているわけだ。しかも、中国に最初の製鉄所をつくり支援したのは日本の最大メーカーだった新日鐵だった。
日本の各産業だって、この轍を踏まないとは限らない。外国資本に買われようと買われまいと、結局時期の早い遅いはあるものの縮小していく市場の中では産業そのものの縮小は余儀なくされるということだからだ。
人口の少ない国家で産業はどこまで存立が可能なのかと実例を見たら直ぐさま理解できるだろう。例えば、豪州、あるいはニュー・ジーランドを見たらすぐにわかる。あれだけの多文化共生国家だといっても、豪州の人口は2015年9月末推定で2,386万人しきゃいない。NZに至っては447万人(2013年推定)しきゃいない。第二次産業が育つわけがない。マーケットが小さすぎる。あれだけの人口を抱える中国が過剰生産だってんだから、どうしようもない。ま、中国国内の需要はまだまだこれから拡大する可能性を充分に持っているわけだけれど、鉄鋼製品なんて、保存できるわけじゃないしね。勿論腐るから。