日本の近代ミュージック・コンポーザーの祖といっても良い冨田勲が84歳で他界したそうだ。あの年代で非常に先進的な音楽の世界を開いてきた。
私的な話で恐縮だけれど、私が仕えた上司のひとりが冨田勲のおじさんに当たるとその上司から聴いたことがあるのだけれど、それまで一言も富田に触れたことがないその上司が、新聞記者のインタビューに応えたときに、甥の宣伝になれば良いと思ったのか、冨田勲がニュー・ヨークの川に浮かべた船だかポンツーンにスピーカーを載せ、野外立体再生装置で再生するんだと嬉しそうに話していたことを想い出す。この上司は本当に最後まで謙虚な人で、自分が今日あるのはみんなのおかげだと本当に心から思っているタイプで、非常に珍しい人だった。この人にだったらついていきたいなと思わせた。
今度の冨田勲の訃報にあたって公開された富田の近景を見て、ハッとした。その尊敬すべき上司にそっくりだったのだ。
