ほぼ足りてまだ欲 その先

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玉音の日

 世間では「終戦の日」とか「敗戦の日」とかっていってますが、この日は昭和天皇が「参っちゃったから、ポツダム宣言を受け入れるからね」と国民に放送した日でございますなぁ。正確にいうと「はい、戦争に負けました!」ということになったのは9月2日に戦艦ミズリー号の上で連合国との間で交わされた休戦協定に署名した日、ということになるのではないかと思うのですが、杖をついた重光葵外務大臣梅津美治郎参謀総長が大勢のアメリカ軍将兵に囲まれて書名をする写真が思い浮かびます。周りはみんな夏の制服ですが、日本側はどうもあれは冬服ではないかという気がするんですが、暑かったでしょうねぇ。
 署名はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、オランダ、中華民国、カナダ、ソビエト、オーストラリア、ニュージーランドの代表がしたんだけれど、カナダの代表が自分のらんではなくてその下の欄に署名をしてしまい、空欄になり、最後にニュージーランド代表は下にサインをして自分の肩書きを手書きでしてあるという状態になっている。こんなんじゃ国内で通用しないと岡崎勝男が訂正を求めたのだけれど、連合国代表たちは既に艦内で祝賀会に移っていて、そのまま日本代表団はこれを持ち帰ることになった。この降伏文書を憲政資料館での公開で見たことがあるけれど、なんとも情けない手書きになっている。
 そして戦争が本当に終わったのは、これから7年後、サンフランシスコで講和条約吉田茂が署名した時だということになるんでございましょうねぇ。その間ずっと連合国に占領されておったわけで、ま、威張り腐って「帝国」だとか、大東亜共栄圏だ、八紘一宇だといっていながら、ただただ、空想の概念国家に犯されていたわけですから、その代償は生中ではございません。
 ま、平たくいってみれば精神に破綻を来していたといってもよろしいのではないでしょうか。ドイツだって、今から省みるとよくわかりますが、とんでもなく馬鹿げた思想に犯されてしまって、自分たちが他のどの民族よりも優れているんだという、陥りやすい、その上酔いやすい論理に自分で自分を放り込んでしまったわけですねぇ。ひとたびこんな思想に犯されると、何でもかんでもその中に落とし込んで語るようになっちまいますから、重病でございますよ。
 そういえば近頃、こんな病気に冒されている人たちが、あたかも気がついていない振りをしていて、目に余ります。ほら、酔っている奴ほど「酔っちゃいない!」といいますよねぇ。儲かりさえすれば、そんな連中にヨイショする輩が多くいて、これも困りものです。多くの国民がそれに気がつく感性を持っていれば良いのですが、病気の連中が「病気はあいつだ!」と医者を指さすと、あっ!そうなのか!ッてんで簡単に騙されます。
 気がついた時には「あ、騙されていた!」とびっくりして、「もう二度と繰り返しません」というんですが、だいたい70年ぐらい経つと忘れちゃう、というよりももう前のことを覚えている人たちがいなくなっちゃうんですね。
 ところで靖国です。私の周りにも靖国で祀られている人がいます。私は戦後の生まれだから当然逢ったことも見たこともありません。妻と子ども三人を残したまま戦死。なんにも帰ってきませんでした。もう100歳を超えた妻も今じゃ車椅子。慰霊祭にもいかなくなりました。あの靖国には「死んでも捕虜になって恥を掻くんじゃないぞ!」と煽った奴も一緒に入っています。噂の慰安所を仕組んでいたまるで女衒だった連中まで一緒に入っているんですね。その割に、「本人の宗教上、外してくれ」と遺族が要望している人たちも一緒くたに入っています。朝鮮・台湾出身兵も祀られてしまっているので外してくれという要望があったことも聴いたことがありますね。そういうわけで問題山積みのまんまです。
 ところで靖国では毎年この日になると、旧日本軍の軍服を着た人たちがやってきます。あれは一体何のためにやっているんでしょうね。もはや戦友を慰霊するためにやってこられる人たちはかなりな少数になってきてしまっていると思いますし、彼らの年代だと戦闘経験者であるようには見えないのですが、それでいて旧軍の格好をしています。テレビはことさら彼らを映します。その割に大日本婦人会の格好をした人たちにはお目にかかりません。如何なものでございましょうねぇ。