ホノルル国際空港が「ダニエル・K・イノウエ国際空港（Daniel K．Inouye International Airport）」へと改名されたというニュース。もう日本人のほとんどが彼のことを忘れているんだろうなぁ。
1924年ハワイに生まれた日系二世。442部隊に従軍し、欧州戦線で右手を負傷して切断。戦後政界に進出。上院議員となり最後まで上院議員。2012年の暮れに88歳で他界。
2008年にLos Angeles、リトル・トーキョーの一角にある「全米日系人博物館」のアイリーン・ヒラノと再婚したことは記憶に新しい。このときヒラノは60歳。イノウエは83歳だっただろうか。
東京で開かれた某シンポジウムで彼女の話も聞いたことがある。イノウエが多分そのシンポジウムで語ったのが、岸信介との会話だった。岸がハワイに来たときだったか、彼が東京で岸に逢うチャンスがあったときのことだったか、忘れてしまったけれど、「私たち日本人の地をつなぐものが日本と米国の架け橋となって尽力したい」と伝えたら、岸信介は「一度日本を捨てた人たちの力を借りる必要はない」と語ったという。当時既に岸信介は他界していたのだから、本当かどうかはわからないけれど、岸信介だったらいいそうな話で、ダニエル・イノウエはとても残念な気持ちを持ったと慨嘆していた。
日系米国人の人たちは、確かに米国人であって、日本人ではないのだけれど、彼らは自分たちのルーツを常に意識してここまで来たし、意識せざるを得ない境遇に遭遇してきた。その歴史を私たち日本人も同胞として記憶に残しておかなくてはならないと心から思っている。
