ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

散歩

 でようとするとつれあいが上野の山に運慶を見に行くんだというので、コミュニティ・バスに乗って一緒にでた。やつは区役所で他のバスに乗り換え、私は御徒町多慶屋にシェーバーの替え刃を買いに行った。
 この替え刃が安くはない。そりゃそうだ、プリンターと一緒で、肝心なのはこの替え刃で、本体はただこれをブルブルと左右に高速で動かしているだけだからね。プリンターで肝心なのはインクで、こっちも本体は大したことがないのに、インクだけは高い。で、今やBRAUNのシェーバーだって、ほとんどが中国生産品。かつては「さすがにドイツ製は誠実にできていて間違いがない」と絶賛していたのだけれど、もはや中国の生産力はそれに優っているのかも知れない。いや、多分優っているんだろう。と、なるとなにも「シェーバーはBRAUNだ」と決まったもんでもないんだろう。
 しかし、そうかといって、滅多に買い換えるものではないから、あれこれ試せるものでもない。一度剃ってしまったら、すぐには他の機械で試せないのだから。私は前にも書いたけれど、成人して以来この方、半世紀の間、他のメーカーのひげそりを持ったことがない。その上、以前の機種では、永いこと愛用していて、替え刃を買いに行ったら「このタイプの替え刃はもう生産していません」とあっさり終わってしまった経験がある。だから、今日は替え刃を2セット下さいといってしまったのだけれど、1セットがなんと3000円もする。驚いたというか、それを忘れていたくらい、替え刃を換えていないということだ。
 しかも、自分が使っているひげそりのタイプナンバーを見ようとしてよく見たら、washableと書いてある。えっ!こんな機械を洗えるのか!とこれまた驚いた。世の中自分が知らないうちにかなり変化、というか進化というか、している。
 御徒町といったら、いつもここの千円床屋に来る。前を通りかかったらお客が誰もいない。ついでだから刈ってもらう。滅多に来ないから気がつかないが、刈ってくれる人はどんどん入れ替わっているんだろうか。
 大塚駅行きの都バスに乗る。湯島の切り通しの上で降りる。本郷通りに出て、だらだら坂を下るとそのまま行くと秋葉原に行ってしまうが、途中のホテルでトイレを借りようと入るとロビーでピアノとソプラノサックスかなんかが生で演奏をしている。聖堂の交差点を聖橋方面に右に曲がり、生まれて初めて湯島聖堂に入った。こんな具合になっているとは思わなかったが、草が綺麗に刈ってあって、冬へ入る準備が終わりました感が漂う。聖橋を渡ってニコライ堂の横をだらだらと下るが、途中から右へ曲がって明治大の前の坂を靖国通りに向かって下る。半世紀前と比べたらやたらと高いビルができているけれどあたりは学生やサラリーマン相手の昼飯、夜の呑み屋が林立しているのはあまり変わらない。
 昔スポーツ衣料のサカイヤがあった細道を行くと、もうそんな店はとっくにないよという感じで、向かいにあったキッチンジローは店を閉めていた。金ペン堂を除いたら、おばさんと若い女性のふたりがいただけだった。ペリカンのスケルトンモデルが何種類もあって、目移りがするが、買うわけに行かない。
 スズラン通りに入って8年前に大きな粒の牡蠣フライを食べたキッチンジロー・南神保町店に入ると案の定牡蠣フライがあるけれど、広島産としてある。鮭のフライとの合い盛りを頼もうとしたら「もう鮭がない」という。海老フライとクリームコロッケとの合い盛りにして貰った。キッチンもホールもひとりずつしかいなくて、50人も入ろうかというこの店をたったふたりで切り盛りするのはどう見ても無理だろう。それくらい人がいないということなのだろう。若い人たちはみんなどこへ行ってしまったんだろうか。
 小川町まで歩き、都営新宿線浅草線、そして都バスを使って帰る。7,900歩。

追記

 ちなみに「運慶」は長蛇の列で、諦め、公開されているお庭を見て帰ってきたそうです。