ほぼ足りてまだ欲 その先

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体験

 日本という国土を戦争に直面させたのは太平洋戦争が初めて。日清戦争も、日露戦争も、ノモンハン戦争(あれは事変じゃないよね)だって、日本国土が巻き込まれたわけじゃない。「あぁ、もう本当に戦争はイヤだ!」というのはほとんどの場合、外地で死んでしまった兵隊の家族の喪失感だけじゃなくて、まさに自分たちが空襲によって完膚なきまでに、完全に、地獄の恐ろしさを持ってたたきつけられたからでこそだ。
 米国も自国本土が戦闘に巻き込まれたことはない。ハワイ真珠湾が叩かれ、民間人も巻き込まれて死んだけれど、実はアメリカ人にとってハワイは本土ではなかった。カリフォルニアの一部に日本軍の潜水艦が砲撃を加えたことがあった。オレゴン州を中心に日本の風船爆弾が落ちて民間人が死んだこともある。しかし、実に例外的な出来事に過ぎない。
 日本の国土が徹底的に焼き尽くされた記憶はそう簡単に払拭されるわけではない、と思い込んでいた。なにしろ死体が散乱する現場風景を突きつけられておかしくならない方がおかしい。しかし、この種の記憶は積極的に伝えられるような問題ではない。それは日本軍兵士が外地、中国や東南アジアで犯してきた数々の蛮行、虐殺が積極的に伝えられないというのと似ている。しかし、自分が犯したことはやはり平時に戻ってみると罪深くてとても口にはできないから伝えられないのだけれど、空襲でたたきつぶされた記憶は悲しみが再現されて伝えられないという違いはある。
 しかし、だからといってその全てのことが「なかった」ことではないはずだ。