ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

正月といえば

 正月も2日と3日はなんといっても箱根駅伝。何が面白いかというと、東京-横浜間は自分でも歩いたことがあるので、沿道のことが実に手に取るように分かるからである。それにしても大学生のランナーたちが通り過ぎるのはあまりも早いので、自分の知っている景色があっという間に終わってしまうことが大変に残念。大学生諸君がこんなに速く走るのを見ていると、このコースを社会人が走ったらどんなことになるのだろうかと思うと、それもまた走ってみて貰いたいものだなぁと思う。
 私がまだ子どもの頃の正月二日というのは近所の父親の仕事仲間が家族連れで集まっての大宴会であった。8畳の座敷と隣の6畳の茶の間を繋いで、20人以上が酒を酌み交わしていたのを思い出す。子どもたちは廊下や外で走り回っていた。大人たちが酔って手を打ちながら唄っていたのを思い出す。勿論カラオケなんてないから全くのアカペラ(なんて云わないが)。やっぱり最初は民謡だったような気がする。子どもが家庭を持ってからしばらくはそれが集まったものだった。両親が亡くなってみると、正月は本当に静かなものになった。
 もうボロボロのプリンターを騙し、騙し、賀状への返事を印刷する。

最近よく聞く高校の先生

 「オール1の落ちこぼれ、教師になる」という本を書いた宮本延春さんのことを以前にテレビで見た。中学に入って最初に貰った通知票はオール1だったという。23歳になってアインシュタインのことを取り上げたテレビ番組のビデオを見て、衝撃を受け、物理学についてもっとよく知りたいと、「九九」の勉強から、つまり小学校三年のドリルから勉強を始めたというのである。私立の定時制高校に入ったのが24歳の時。名古屋大学の物理に27歳で入学したというのである。学部と大学院で都合9年間、宇宙物理学を勉強し、今度は母校、豊川高校の先生になったというのである。
 積み重ねなんだというのがよく分かる。何かきっかけというのがあるというのがよく分かる。それがどんなきっかけだろうとそれは構わないと思う。彼の場合はそれは探求心というか、好奇心だったかも知れない。それが例えばいやなことを経験したから、そんなことが起きないようにするにはどうするべきなんだろうか、と言うことでも良い。きっかけをつかむことがとても重要だろうと思う。
 しかし、次に必要なのは常にその目標を忘れないことだ。自分にいっているんだけれども、実に簡単にそのことを忘れるのである。目の前に、あの本を読まなくちゃというプレッシャーが立ちはだかる。あぁ、いやだ、あんなの読みたくない、と思った時にもう「なんでその本を読むという状況が生まれてきたのか」と云うことを忘れている。積み重ねをするためには一見実につまらないことをやらなくてはならないことがある。大体、その辺で放り投げる。
 どこから踏み込んでも良いから、何から踏み込んでも良いから積み重ねなくちゃならない。一行でも良いからひとつずつ積み重ねなくちゃならない。いっぺんにはできない。>自分に。

Duets, トニー・ベネット

 トニー・ベネット80歳記念のアルバムが「Duets」。NHK BS-2でその番組が放映された。まぁ、アルバム制作のバック・ステージ・ストーリーである。録音はなんと全て一発取りのようで、ちゃんとストリングスまで演奏している、様に見える。多分そういっているからそうなんだろう。ドラムスにはあのハロルド・ジョーンズがちゃんと映っていて嬉しかった。なんの気負いも、驕りもなく、淡々と唄うトニー・ベネットだけれども、本当にそれが彼のすごみになる。最後の"I Left My Heart in San Francisco"はまさに圧巻。彼の唄を聴いているとごく簡単に自分も唄えるように思ってしまうのが怖い。"Smile"の作曲はチャーリー・チャップリン

歌舞伎生中継

 NHK教育で西と東の歌舞伎の録画、生中継があって驚いた。こんなことできるんですなぁ。松竹大サービス(誤植にあらず)。歌舞伎を見にいってお借りする音声ガイドの中で解説されている方の解説がサブ音声で流れていて面白い。年賀状をようやく書き始めたので最初のところは見ていなかったけれど、お茶を入れに行って気がついたのはもう勧進帳の終わりも終わり。弁慶が花道を下がる直前であった。その後が「切られお富」で、これが見たことのない演目。蝙蝠安と顔に切られ傷を持つお富が先の旦那で大泥棒だった赤間源左衛門を、今は「真面目に」おさまっている女郎屋に訪ね、金をせびる。それを聞いていた与力が踏み込んで、真っ暗になった部屋で大捕物。ところが、お縄にする前に舞台は暗転。解説は「どなたもごひいきがいるわけで、お縄につくば面はお客様にお見せしない」というのである。次の場面では揺すって手に入れた金を持ち逃げしようとする蝙蝠安を切られお富が斬りつけ、あ、これでトドメだ!という所で、二人は頬被りをするっと取って、舞台は夜の場面からすっかり明るくなり、二人の役者は舞台に座り、「ありがとうございました」と挨拶。「めでたい時に切ったの死んだのではまずいから芝居はここで撥ねます」という解説に、思わず、お、こりゃ面白い!その後の山田洋二郎監督のお話は私はご遠慮申し上げた次第。初日らしく時々プロンプターの声。