六本木の森ビルというやたら背の高いビルの上に森アーツセンターギャラリー」なるものがございましてね(今回初めて知ったんですが)、そこで「大エルミタージュ美術館展」というのをやっているんでございます。
エルミタージュといえば、ロシア、サンクトペテルスブルグにある、驚くほどの収蔵品の数で多分一生通い詰めても全部の作品を見ることは叶わないのではないかと思われるほどの美術館でございます。
ニュウーヨークのメトロポリタン、パリのルーブルと三大美術館といわれようというくらいのものですね。
しかしながらロシアという国は未だに観光ビザで小銭を稼いでいるという旧態依然たる国家でございますので、なかなか個人旅行で行くのは面倒です。そうかといってパックツアーですと、十分な時間を美術館巡りに当てられそうにありません。
ところがオランダのアムステルダムにはその出張所がございます。こちらにはサンクトペテルブルグから展示品が交換されているということでございますが、大本の方にも行ってみたいものでございますなぁ。
で、今回の展覧会は数々の不思議なことがございます。ひとつめはこの「大」でございます。この「大」はいったいどこにかかっているのかと申しますと、どう考えてもサンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館は「おおきいぜ!」という意味の「大」なんですね。わたしはまたエルミタージュ美術館の作品を大量に見せてくれるという意味の「大」かと思っていたわけです。見事にやられてしまいました。
もうひとつは入り口正面に飾られているエカテーナ2世の肖像画は写真を撮ってもOKです!と出ているのに、その小さなブロックに掲げてある彼女の家系図を撮ったら「ご遠慮下さい」っていわれちゃったんです。ま、そうなんだといえばいった方の勝ちでございます。
最後のひとつはネット上で入場券を売っているのですが、これを画面で表示にしようが、プリントしてこようが、実は入場券を買う列に並ばなくてはならないということなんです。じゃ、事前にネット上で入手する意味が全くないのだ。
展示されている絵画は面白いものもいくつもあるのだけれど、サンプル展示、のような案配です。
本
- 作者: 北博昭,NHKスペシャル取材班
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/07/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (3件) を見る
こちらもこれまで気がつかなかったエアポケットの分野だった。日本軍の軍法会議の話だけれど、NHKのスタッフが良くこの隙間に気がついて、滑り込みセーフの記録を残してくれた。
日本の戦後はなにも政府によって明らかにされてこなかったんだなぁということに思いが至る。それに対して、この本の中にもあるけれど、ドイツは同じ枢軸国として戦争に負けたにしても、日本のやってきたこと(つまり、やらなかったことになるのだけれど)、に比べてかなり明確に相反して公正だということに気がつく。
あのアメリカですら、人種差別に気がついて、強制的に収容した日本人・日系米国人に謝罪をして補償してきた。残念ながら、戦後これまでの日本国政府はそのすべてを記録として残さず、おざなりの補償に終わらせてきた。その大人として当然と思われる気の遣い方ができなかったことが、返す返すも残念で仕方ない。
- 作者: 清水潔
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/08/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
「季刊清水」
ここでもたびたび書いているけれど、清水の戸田書店が「季刊清水」という本を出している。実は季刊でも何でもなくなっていて、毎年の年末にかろうじて一冊を出して、細々と続いているという「季刊誌」だ。
今のところ、私と、私が8年半を過ごした清水とをつないでくれていると言っても過言ではないかもしれない。この季刊誌を知ったのはその編集にも携わっておられる方のブログを読むようになってからのことで、近頃の清水がどんなに変化しているのかはこの方が時々帰郷することからうかがい知ることができる。
49号の表紙を戸田書店のサイトで見たときに、「アメリカ軍の将校として生きた日系人の話」という一項が見えていて、江口敏郎さんという方が書いている。いの一番にこれが読みたかった。遠藤一郎という三保出身の人がアメリカ生まれの日系二世で、やっぱりMISの将校として戦後日本に進駐し、今でもカリフォルニアに健在だという話だ。彼はいずれかのrelocation centerに収容されたのだろうか。
大事に大事に第二のふるさとからの便りとでもいうような記事を読んでいこう。