ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

外国人介護者

 色平哲郎先生が「海を渡ってくる看護師・介護士」という文章を書いておられる。日比FTAにともなって将来的にフィリッピンから看護師、介護士が日本で勤務する日が来るという話。しかし、これは医療や福祉の現場から要望された話ではなくて、金儲けをもくろむ層が進める話。フィリッピンには既に日本語と日本的現場学習の学校が開校されているという。しかし、この推進力は飽くまでも純粋に安い労働力を仕入れてより利益確保を確実にするという方向性の考えから取り組まれているという点を忘れてはならない。それでもそれを標榜したのでは共感を得られないから、表面的にこれを塗布するために少子化が生み出す将来的な労働力不足に今から取り組む、という祝詞まことしやかに語られている。
 法務省はこれまで、如何に日本が外交人労働力の流入を許さないかという論陣を張り続けていたにもかかわらず、裏ではこそこそと、外国人労働者をより安価な労働力としてその仕込みを例外、例外として創り出してきている。色平先生が仰るように、自国では満足な看護師や介護者を得られないのに、他国に多くの労働者がその役目を果たすために出かけ、外貨を国にもたらしている。つまり、私たちの国はフィリッピンの国内ニーズを放棄して安く買い取っているということである。つまり簡単に言うと限定的範囲とはいえ、明らかな植民地型搾取の一形態だということができる。
 日頃から良くいわれている我が国の伝統的価値観を判断した瞬時の対応が求められている(実際に現場ではそうなってしまっている)現場で、果たして明らかに異なる価値観を持った介護者、看護者が対応できるのか、という問題は実はとても大きな要因となるであろうと思える。サービスを受ける側にとってサービス提供者がどんな文化的価値観を持っているのかによってそのサービス内容が異なることになるという局面がやってくるわけである。危なっかしい社会を甘んじて受けるのは誰だというのか。その結果より儲けるのはいったい誰なのか。