ほぼ足りてまだ欲 その先

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鶯谷の駅

 ところが鶯谷の駅はずっと前から面白い駅だと思っていた。何が面白いって周りのネオンがほとんど全部ラブ・ホだということではなくて(駅の周りは大変なことになっているみたいだ)、駅舎の骨組みが全部古いレールでできている。こうした駅構造はかつてはそんなに珍しいことではなくてJR京浜東北の駅は軒並みこんな造りだったと記憶している。鶴見の駅舎も、大森の駅舎も、大井町の駅舎もみんなこんなものだったという想い出がある。しかし、いつの頃からかそんな駅舎はどんどんなくなって有効利用の駅ビルへと変身してきた。幸いというか、見捨てられているというのか、この駅にはそんな需要もないし、東側のラブホと西側とを結んでもなんということも起きそうにない。京浜東北と山手線の上りと下り、二本あるプラットホームの間に架線を支えるフレームがあって、普通の駅はCーチャンネルかなんかでトラスを組んだなんの面白味もないものが両方のホームの屋根の上に乗っている。ところが鶯谷ではこれも古いレールで造られているのだ。NHKのBShiとBS2でしか放送していない「熱中時間〜忙中趣味あり〜」という番組がある。この番組で鉄道熱中人の回にこうした構造に用いられている古いレールを捜すことに熱中している人が出てきたのを見て、あぁ、やっぱりそういうものなんだなと納得した次第。彼はその時その時のレールの特徴を割り出すための型紙まで持って捜しているのだそうだ。なにしろ初期の頃はレールも勿論輸入品で、今はどこにおいてあるのか知らないが、かつての地下鉄銀座線浅草駅の構内には米国・ベスレヘム・スチール製のレールがその刻印がそのままに飾られていた。日本ではかつて富士製鉄と八幡製鉄が戦後再度合併して新日本製鐵を構成する時にレールが独占禁止法に触れる商品となってしまうために、函館だか室蘭の工場でわざわざ他社の刻印のついたレールを製造し、その会社がそれを販売することによって独禁法の網の目を逃れたという逸話がある。つまりOEMな訳だけれども、そんなことで本当に法に触れなかったのだろうか。高度成長のためには法も大いに大目に見たのだろうか。それとも本当にOKだったのか、中途半端な知識の持ち方なので、役に立たない。