日本国内の移民の人権問題を調べるため来日した国連人権理事会のホルヘ・ブスタマンテ特別報告者は31日、都内の国連大学で記者会見し、あくまで「予備的な勧告」と断りつつも「国籍に基づく人種主義、差別意識は日本にいまだ根強い」と指摘、人種差別防止に向けた法整備を求めた。
また、(1)研修生や技能実習生は権利侵害となるような条件下、奴隷状態に発展している場合さえある(2)外国人女性が家庭内暴力の被害者であっても在留資格更新で夫に頼らなければならない状況がある(3)外国人の子供が日本において不就学の状況にある−などと問題点を列挙した。(時事ドットコム2010/03/31-18:16)
日本は国際人種差別撤廃条約を1995年12月1日に国会で承認し、1996年1月14日には発効した。時の政権は村山内閣である。しかし、人種差別行為を犯罪とする内容を規定した条約第四条(a)(b)の適用を留保した。これに対して、人種差別撤廃委員会は、日本政府の留保は条約の基本的義務に合致しないと指摘していた。
加入してから1年以内に国内での実施状況についての報告書を国連・人種差別撤廃委員会(CERD)へ提出する義務が課せられているが、日本の報告書は2000年の1月になってようやく提出されたという事実は国際的な信頼の創出という点では明らかに不利だ。
『人種主義・人種差別・外国人排斥・関連する不寛容の現代的諸形態に関する特別報告者ドゥドゥ・ディエンの報告書:日本訪問』(E/CN.4/2006 /16/Add.2)は2005年7月の調査による報告書。ここで日本は24項目の勧告を指摘されていた。
ごく最近の話では高等学校学費無償化政策での朝鮮学校の例外化について国連の人種差別撤廃委員会が3月16日に「日本政府が高校無償化で朝鮮学校を除外するのは人種差別に当たり、人種差別撤廃条約の「教育に関する権利の平等保障義務」に違反していると警告、改善を勧告(毎日新聞 2010年3月17日 東京夕刊)している。
国内で行われている様々な人種差別に関して、国内だけのことだと思っているのは「不良小説家」都知事だけでなくてたくさんいるけれど、この国に関してはこれまでなんだかんだと言い逃れして法の制定を逃げてきていることも含めて、広く海外に知られているということを認識しておく必要がある。これはどこの国籍を持つものがどこの地域に暮らしているのかということとは関係なく、「人間」としてどこに暮らしていても「人権」は尊厳されなくてはならないという前提に立っている。
何を理由に何時どこに動いてきたのかとは関係なく、今ここで「人間」として生きている、そのことに意味がある。