ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

死刑

 基本的には私は死刑には賛成できない。極刑は終身刑だと思う。こういうことをいうと、必ず帰ってくる返事は「自分が殺人被害者の遺族だったとしたらそれで我慢ができるか」というものだろう。つまり連れ合いや子ども、あるいは他の家族が殺されたとしたら、どうなんだ、というものだ。
 「くそっ!殺してやる!」と思わないという自信はない。しかし、人が人を死に至らしめるということは許されることではないように思うからだ。
 しかし、今度の中国による日本人犯罪者の死刑執行に反対なのかといったら必ずしもそうではない。いや、正確にいえば「死刑」そのものには反対だ。しかし、禁じられている覚醒剤を持ち出そうとして逮捕された犯罪者が法に従って処分されるのは当然だと思う。
 「日本だったら覚醒剤を持ち運んでいただけで捕まっても死刑にならない」ことからこれはやり過ぎじゃないかという論調が日本で大きく取り上げられている理由だろう。しかし、それがマスコミで取り上げられ続ける理由にはなるべきではないだろう。中国政府は処刑前に家族に面接を許したという。
 覚醒剤を日本に持ち込もうとしたということは多分下っ端に違いないだろうけれど、人間を奈落の底に突き落とし、なおかつそこから金品を絞り取り続けようとするというまったくの話許し難い行為に荷担していたことは確かだ。ここを起点にしてそのネットワークを根絶やしにする捜査を日本の警察が直ちに実施しているのか、それが壁にぶつかっているのだとしたらそれがどんな理由なのか、それこそ日本のマスコミが報道するべきことであって、「この死刑は重すぎないか」を語るのがその役割だとはとても思えない。
 むしろ日本の法がこうした犯罪に対して軽すぎるのではないのかという議論をするべきではないのか。ノリピーと彼女の夫の覚醒剤についてあれだけ報じ続けていたが、あの覚醒剤がどこから彼等の手に渡ったのか、そして彼等の友人、つながりで他に覚醒剤を使っていた人間がいたのか、いなかったのか、それは果たして明らかになったのかどうか。
 マリファナは習慣性がないから麻薬なんてジャンルに含めるのはちゃんちゃらおかしいという論調がある。その証拠に米国では(全土ではないだろうけれど)自分に供するためであったら持っていても問題がないじゃないかという人たちもいる。じゃ、日本もアメリカのようなぐちゃぐちゃな状況になっちゃっても良いんだというのであれば話は別だけれど。
 マリファナは確かに習慣性はない。しかし、日本の場合だと、これを入り口にしてどんどん深みに嵌るそんな入門編になってしまい易い。捨て鉢な気持ちになった時に手を出しやすい。そこからどんどんいってしまうのが実情だ。そんな気持ちになって手を出すひとりひとりがどうのこうのという問題ももちろん大きいけれど、それに対する供給側が大量な闇の金を入手するというところに問題はより大きい。
 「覚醒剤ぐらいで死刑だなんてひどすぎないか」という論調を平気で垂れ流すマスコミの論調はこの国を闇の組織に売り払っても良いといっているのと同じだ。