ほぼ足りてまだ欲 その先

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池部良

 池部良が死んだ。ここのところ人が死ぬ話ばかりだ。そりゃそうだ、自分が死ぬ話は自分じゃかけないもの。そっちじゃないって。
 92歳だというのだから大往生だ。私が小学校に上がるか上がらないかの頃の池部良は格好良いお兄さんだったということしか覚えていない。
 そのあと強烈な印象を与えたのは東映のヤクザもの路線で、高倉健がとうとう最後に堪忍袋の緒を切らしてしまい込んだ白鞘を持ち出し、片手に蛇の目を差して歩き出すところに物陰から同じように蛇の目を差して表れ、同行する池部良だった。
 それは私が学生の頃のことだったのだけれど、実は池部良はそんな映画に出演していながらそんな世界にはあんまり関係のない人だったのではないだろうか。日活の石原裕次郎や、東映里見浩太郎山城新伍なんてところが暴力団の拳銃密輸に荷担した事件を起こしていたのに較べれば、後年はものを書いたり随分違う路線だった。
 2005年7月にテレビ朝日の「朝まで生テレビ「激論!敗戦60年!元帝国軍人があの戦争を語る!」に元陸軍中尉として出席をし、テレビ側が「元俳優の」と紹介したのに対し「私は今でも俳優です!」と訂正をしている。当時、87歳だったことになる。
 つい先日、CSだったかでいつのなんという映画かわからないけれど、モノクロの映画で彼が蒲団に横たわる女性の髪をなでるシーンを見たばかりだった。
 あぁいう映画をいつか見たのか、私は彼のことを「スケベ良」だなんて呼んでいて、まっこと申し訳ない次第にてお詫び申し上げるのである。