ほぼ足りてまだ欲 その先

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東電会見

 東京電力は例によって夜中の記者会見をする。岩上安身のIWJがライブ中継をいつものようにしているのを大分経ってから見た。すると元産経の記者で弁護士資格を持つインターネット新聞「News for the People in Japan」の編集長、日隅一雄が今日も噛みついていた。
 何事かと耳を澄ましていると、どうやら福島第一原子力発電所ではこれから1万トンの放射能汚染廃液を海洋投棄することになったというのである。この原子炉等規制法64条の適用については保安院に届ける必要があるはずで、その根拠を示すべきであるという主張をしていた。これは至極当然の話で、これだけの行為を行うのについて役員、社長、会長も出席せずに簡単に通告するだけという東電の姿勢は国民をバカにしているだけでなく、世界をバカにして、地球を冒涜している。
 しかも、この記者会見では5号6号機についても問題が出てきていることを簡単に明らかにし、そのバックグラウンドの説明がない。そのうえ、ディスクローズしなくてはならない根拠等をすべて「今は手元にない、確認する」で斬り捨てるという姿勢である。
 この企業に任せておいたのでは、日本という国はとんでもないところにいってしまいそうだ。これはもう既に一企業の問題ではないのであって、彼等に任せてはいけないのだということに政府が気がつかなくてはならないはずだ。私達はとんでもないところにいる。
 その上、これまでネット社会でしか語られていない、マスコミ媒体の記者連中がこの記者会見の場で、押し黙ってパソコン画面を見つめるだけで、口を開けば全く方角違いの質問を発して、あたかも東電会見を支えるかの如き、行動に出る。半信半疑でマスコミ媒体と東電、政府との癒着を見ていたけれど、これは本当に大問題であることがわかる。こうしたことに無関心でいることはただ単に自分の中で問題なだけではなくて、地球規模の犯罪でもある。あたかも、カダフィ軍に荷担して反政府軍に爆弾を落としているようなものだ。

 東京電力は4日、福島第一原子力発電所で国の排水基準の約100倍に相当する「低レベル放射性物質」を含む汚染水約1万1500トンの海への放出を始めたと発表した。タービン建屋の地下などにたまり海に流れ出ている「高レベル」汚染水に比べれば放射性物質の濃度は低い。低レベル汚染水を海に出し、空いた場所に高レベル汚染水を入れて浄化処理などを進める苦肉の策となる。
 低レベルとはいえ、放射性物質で汚染された水を意図的に放出するのは国内初。福島第一原発の集中廃棄物処理施設と呼ばれる建屋内にたまっている廃液約1万トンと、既に冷温停止している5、6号機近くにある立て坑にたまった約1500トンの水を海に出す。4日午後7時すぎに開始、数日にわたって続ける計画。
 東電は4日午後、「原子炉等規制法64条1項」に基づき、放出を経済産業省原子力安全・保安院に報告。保安院が国の原子力安全委員会の助言も受けて実施はやむを得ないと判断した。同項は汚染水によって災害発生の恐れがある際に、緊急措置として放水を認めるとしている。
 枝野幸男官房長官は4日の記者会見で、汚染水の海への放出について「安全確保のためにやむを得ない」と述べた。「海水などのモニタリング結果を注意深く監視して環境への影響をしっかりと確認するよう指示した」という。原子力安全委の代谷誠治委員も、「低レベルの汚染水を出して高いものが放出されない枠組みができるのなら、致し方ない」と容認する考えを示した。
 集中廃棄物処理施設の汚染水は原子炉の配管洗浄の際などに発生する廃液。放射性ヨウ素131の濃度は1立方センチメートル当たり6.3ベクレル。5,6号機の立て坑にたまった水は同1.6〜20ベクレル。
 現在ピット(立て坑)のひび割れから漏れ出ている汚染水に比べると、放射性物質の濃度は約100万分の1と低い。ただ国の排水基準はヨウ素131で同0.04ベクレルで、低レベル廃液でもこの基準の100倍以上になる。
 東電は周辺の魚や海藻を毎日食べても、受ける放射線量は年間で約0.6ミリシーベルトと自然界から受ける量よりも少ないと説明している。ただ、既に高濃度の汚染水も大量に流出しており、低レベルでも量が増えれば漁業などへの影響を懸念する声も強まる可能性がある。(日本経済新聞 2011/4/4 19:50)

 東電はより汚染された水の貯蔵場所を確保するために低位汚染廃水を大量に廃棄することにしたという通告発表にもかかわらず、責任者が出席もしない現場担当者によるレクチャーで終わらせようとする姿勢である。