ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

40年前

 丁度40年前の今頃、私は入ったばかりの会社の研修期間を過ごしていた。現場で機械の組み立て作業をやっていて、その納期が迫っていて、なんと研修生のこの私が細いパイプを切って、それを取り付けるという仕事をやっていた。
 図面があれば、それから寸法を割り出してその通りにカッターで切ればいいのだけれど、そんなに精密性を要求される部分ではなかったので、見当をつけた長さにパイプを切り、ちょっと長めな部分は取り回しで調整して取り付ける。ところが私は生来のケチなので、どうしても短めに切れちゃう。短いとこれは届かないので、全く役に立たない。するとそのパイプはどうなるのかというと、お釈迦になる。一人でこつこつとやっていたので、周りに誰も相談する相手がいない。しょうがないから、そのお釈迦は放りだして、また新しく切る。
 就業時間の終わりが迫ってくると、親方がやってきて「どや?」という。ご覧の通りにしかできていないと見せるわけだけれど、その人は殆ど何も云わなかった。で、ある日「今日徹夜でやっつけるんだけれど、やる?」というのである。なに、その「やる?」ってのは。今から考えると冷や汗が出るんだけれど、彼は多分手伝ってくれ、残業しろといいたかったんだと思う。しかし、「やる?アハハ、やるわけないよな」という雰囲気だったものだから、疲れていた私は「帰ります」と云って、帰った。
 5月になって正式な配属になった。どうしても残業して書類の確認作業が必要だった。先輩が「飯奢るから手伝え!」と云ってカツ丼を奢ってくれた。腹の皮が突っ張るとまぶたが緩む。その時の作業では、先輩が読む文章をこっちの文章で正確かどうかを校閲するという作業なんだけれど、概ねあっていて、時として誤りを見付けるという程度だから、じっと文章を目で追っているという、実に退屈な役回りだった。
 気がつくと、まぶたが降りていた。すると先輩が「オイ!」と起こす。「あ、すんません!」と反応する。その程度にまでは反応できるようになっていた。それが2-3回続いたら、とうとう先輩が「お前、もう良いから帰れ!」と云った。なんと私はそのまま帰った。そこがまだ未熟だった。
 その先輩からはこの歳になった今でも、未だにいわれる。「お前は帰れと云ったら本当に帰りやがった!」と。済みません、反省しています。(id:photozoomさん!)