ほぼ足りてまだ欲 その先

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職業

 今の政権与党の政治が政治家として王道をいく、つまり正しい政治なのだとしたら、こんなにつまらない職業という物はないとしかいい様がない。なにしろ国民の生命・財産を守る、ということを究極的な目的とする職業なんだとしたら、今彼等は全く逆のことをしているのだからである。
 福島から後から後からわき出ている放射能汚染物質が周辺をとっくに汚染状況にし、風に乗ってその多くが予想もしない方向にまでとんでいっている事態を知りながらも何も外部に伝えず、「大丈夫」だといい続けてきた。その間に一体どれほどの人たちが放射能汚染に晒されてしまったのか、掴みようがない。
 「こりゃ危ないぞ」と知って西へ、あるいは外国へ逃げていった人たちについては国は全く捕捉なんてしていない。なんでかといったら、国民の安全には関心がないからだ。
 それでは何に関心があるのだろうか。外国から見た日本という国の視線に関心があるのだろうか。いや、それもないだろう。なにしろ国内で知られていない状況について、むしろ外国の方が情報を抑えている可能性が高いし、素早い判断が下されていることは既に知られている。
 ならば一体誰のためにどう行動しているというのか。
 全く無傷のままでいるのは誰かと云ったら、当の東京電力という会社であり、その業界を管轄することになっていて、その安全操業性について監督するために存在している経済産業省という役所に他ならない。彼等業界とそれに連なる行政のいずれか誰かがこの5ヶ月の間にペナルティーを科せられたかといったら、誰ひとりそんな状況に直面してはいない。誰ひとり、お縄を頂戴して拘置所で番号で呼ばれる生活をしているものはいない。
 もうこれから先何十年にもわたって自分が生活していた地域に帰ることができなくなった人たちというのは一体どれほどの数に上るのだろうか。それまで続いていた生活が突然遮断され、すべてのものが無に帰してしまい、コミュニティーすらなくなってしまった人たちは一体どれほどの数に上っているのだろうか。子どもたちの45%が甲状腺に影響を受けたといわれているけれど、どこまでが正しい数字なのか、信憑性にも疑問がある。
 お上が発表するデーターはどれもこれも俄には信頼ができない。暫定基準値なんてものはどの数値だろうと、なんについての数値だろうと、何も基準があるわけではなさそうなのはその数値があの事件以降どんどん変えられてきたことを見ても明白だ。
 しかしながら、彼等が幸いなのは、日本人というこの国の国民性が殆ど何も知ろうとはしないし、なにひとつ行動に移すわけでもないという、楽な状況にあることぐらいだろう。
 「ふざけるな!」と首相官邸に押し寄せるわけでもないし、原発がなくなったらそれから先の電力をどうするって云うんだとうそぶいてきた自民党原発万歳議員「エネルギー政策合同会議」の細田、甘利、西村康稔なんて事務所に人が押し寄せるわけでもない。反原発デモがあっても警視庁は若手の巡査がデモ隊を取り囲み、「早く行け、早く行け、前に詰めろ」と追い回し、終いには2-3人を理由もなく警察に引っ張って10日間臭い飯を喰わせて脅しをかける程度で人はびびる。
 尤も、本来政治は職業であっては成らないものではないのか。だから、ボーナスなんて概念や、それに伴う年金、 手当ての類が存在するはずがないものなのではないのか。