昨日の夕飯のメインはぶり大根だった。私の妻(さい)の調理によるのだけれど、ぶりをフライパンで表面を焼いていたのを見て、アァ、なるほど、肉の料理と考えは一緒だなとは思ったけれど、自分では発想もしたことはないし、そうして料理をしたこともなかった。
死んだうちの母は一つのものに凝るとそればかり作るという性癖があって、ひと頃のおやつはやたらと母が作るプリンだったり、ドーナツだった時期がある。しかも、当時のことだからどこかからそのレシピを仕入れてくるのだろうけれど、けっこう失敗した。やたら穴だらけのプリンを良く食わされた。
食事もそうで、ひと頃は蓮根+人参のしんじょなんてものばかりでて来たことがあり、弁当のおかずにはちくわの甘辛煮ばかりだった時期もある。晩年、もう認知症が随分進んできてからはぶり大根ばかりをしきりに食べたがった。すぐ上の姉が隣に暮らしていたので日頃は見てくれていたのだけれど、しょっちゅうお助け隊で面倒見を変わっていた頃に、私もぶり大根が作れるようになった。ぶり大根は味がしみているととても美味しいが、私にはどうも飯のおかずになる気がしない。しかし、昨日のぶり大根は充分に味がしみていて、誠に満足だった。