経営者から見たら如何に人件費を減らすかは儲けの幅を広げるか狭めるかで大きな問題だ。殆ど人件費しきゃ原価にないような業務形態の企業、つまりアイディアやノウハウを提供するような、だったらそこを削減するのが経営の根幹だからやってもやらなくても歳費が変わらないような雇用形態をとるのは大間違いだと認識は多分一致するだろう。しかし、この根本的なところの価値観を逆転させていかないと、これから先の日本は成り立って行かなくなると思う。
それは様々な社会構成システムが成り立たなく可能性があるからというような甘っちょろい問題じゃない。この国が存在できるのかできないのか、という非常に根源的な問題なのだ。このままであれば、人間の存在そのものの価値観に大きく関わる基盤の根拠が全く変わってしまうからである。
多分このままでは家族単位というものの考え方が崩壊するだろう。そうするとこれまで世帯単位で考えられていたものはすべてもう使えない。ひとりひとりの単位でなんでも考えるというシステムに換えなくてはならない。自民党右派が櫻井よしこなどの論客も含めて家族を強調するのだけれど、もはやとっくのとんまに時代の動きに大きく後れをとっている。こんな連中がいると、素早い価値観の変革の邪魔になるだけなのだ。
どんなことを云おうと喚こうとその流れは絶対に変えることはできない。そうした流れは日本本来の、あるいは古来の文化に反しているだのどうだといったところで、そんなに云われるんだから考えを改めて日本の文化の保存のために私は考えを変える、なんていう人が一体どれほどいると期待しているというのか。そんなことが実現することなんて全くあり得ないのだ。
だから「個の繋がりによる社会」というものが整然と継続できるために必要なシステムとは何か、という方向からの検討をすることが今の政治に求められる、ということだ。
こればっかりは如何に「やってくれるのを待つだけじゃないか」と云われても仕方がない。