ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

フェイヴァリット

 まだたかだか60数年しきゃ生きちゃいないのにお気に入りの場所だなんていうのはおこがましいのだけれど、確かに足が向きやすい場所というのがあって、それは別にお気に入りって訳じゃなくて、ただ行きやすいってことなのかもしれない。それも面倒なことを考えなくていいから、行きやすいって程度のことなのだろう。
 昔の作家の人たちが良くいったお気に入りの店だなんて紹介のされ方をしていることが良くあるけれど、彼らは最初にいった時はどうやって入っていったのだろうか。今のようにテレビが普及している訳でもないから、池波正太郎といったってその辺の食い物屋の大将はそう簡単に分かったとは思えないじゃないか。
 「あのね、私はね、結構売れている作家なんだよ」だなんていったというようには思えないもの。もっと不思議なのは永井荷風みたいにしょっちゅう浅草に入り浸っていたというのは分かったとしても、ストリップ小屋の楽屋で踊り子さんと一緒に撮った写真なんてのが結構昔から流布されている。ただ単なるエロ爺にしきゃ見えないあんな写真をよく踊り子さんが一緒に撮らせたものだと思うが、なんといって楽屋に入り込んだというのだろうか。「あのねぇ、ウヒヒヒ、私はねぇ、結構、有名なんだよ、ウヒヒ」とよだれを垂らしながら入っていったというのだろうか。
 そうか、世の中は売れてしまえば周りが何でも許してくれるってことだったのか。気がつくのが遅すぎたなぁ。