【ワシントン時事】欧米を中心とする日本研究者187人が4日、安倍晋三首相に送付した声明の要旨は次の通り。
戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と政治的な寛容さは、日本が科学に貢献し他国に寛大な援助を行ってきたことと合わせ、全てが祝福に値する。しかし、世界から祝福を受けるに当たっては障害がある。それは歴史解釈の問題だ。
最も深刻な問題の一つに、いわゆる(従軍)慰安婦制度の問題がある。この問題は日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、ゆがめられてきた。しかし、彼女たちの身に起こったことを否定したり、過小なものとして無視したりすることは受け入れられない。
女性の移送と慰安所の管理に対する日本軍の関与を明らかにする資料は、相当発掘されている。確かに被害者の証言はさまざまで、記憶も一貫性を持っていない。しかし、証言は全体として心に訴えるもので、元兵士その他の証言だけでなく、公的資料によっても裏付けられている。
慰安婦の正確な数について歴史家の意見は分かれているが、女性が尊厳を奪われた事実を変えることはできない。「強制的」に慰安婦になったかどうかについて異論を唱える歴史家もいるが、大勢の女性が意思に反して拘束され、暴力にさらされたことは、資料と証言が明らかにしている。
米国、欧州諸国、日本を含めた帝国列強の中で、無数の市民に与えた苦しみに十分に取り組んだと言える国はまだない。
今年は日本政府が過去の植民地支配と侵略の問題に立ち向かう絶好の機会だ。4月の米議会演説で首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、他国に与えた苦しみを直視する必要性について話した。こうした気持ちを称賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやまない。可能な限り完全で、偏見のない(過去の)清算を共に残そう。(時事ドットコム 2015/05/07-09:33)
- 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』のエズラ・ヴォーゲル氏、
- 『敗北を抱きしめて』のジョン・ダワー氏、
- 『歴史としての戦後日本』のアンドリュー・ゴードン氏、
- 『歴史で考える』のキャロル・グラック氏、
- 『国民の天皇』のケネス・ルオフ氏、
- 『天皇の逝く国で』のノーマ・フィールド氏
学問的にトップクラスであるばかりか米国のアジア政策にまで影響を与えるような名を知られた大物を含む。
これだけの研究者がこれだけの声を上げていることに驚く。それに対して日本の歴史家たちは如何か。