ほぼ足りてまだ欲 その先

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噺家

 今一体関東に噺家は何人ぐらいいるんだろうか。もう数えられないほどいそうだ。それもみんな若い!っていったってこっちが勝手に歳取ってんだから向こうの責任じゃない。それはわかっているけれど、次から次に名前を聞いたことのない卵がコロコロと出てくる。みんな好きだよねぇ。いつだったか、ご一緒させていただいた入船亭扇辰さんに「師匠はなんで噺家に?」って聞いちゃったら、横から柳家ほたるが「そりゃ愚問ですよ、誰も彼もみぃ〜んな好きだからなっちゃったんですから!」っていうんですよね。そりゃそうだ。こういう業界、ま、つまりエンターテインメントの世界はみんな、誰も彼も、好きでなりたくて入ってくるわけですからねぇ、面白いですよねぇ。
 お笑いの世界はみんなそうでしょうけれど、才能ってのには努力ではどうにもならないものがありますよねぇ。いくら稽古を重ねても巧くできる奴とできない奴がいますよ。でも、好きできたのか、そうじゃないのかっていったらみんな好きできたもんだから、誰にも文句はいえませんね。これは相当に辛い。
 会社員だった私なんぞ今何を思いだしてもなんでも他人のせいにしちまいます。あぁ、あれはオヤジのせい、あぁ、これはあん時の上司のせいって。これ、凄い気が楽っす。無責任!あっ!それで青島幸男はあんな詞を書いたんだな、きっと。
 でも、芸人も歌手も、私から見たら、くっだらねぇなぁと思うような群像アイドルタレントもみんななりたくて、なった。それが凄い。しかし、売れて大看板になって、うわっ!豪勢だなぁというような生活ができるのはほんの一握り。他の人たちはどうかといったら、所属事務所が儲かるくらい。若い時に勝敗の見極め時が来ちゃう連中はその後の再出発ってのができるんだけれど、なかなかその見極め時がやってこない職種は大変だよねぇ。堪えに堪えて、行くンだからねぇ。本当に頭が下がります。
 その上、一度ドカァ〜ンと売れてしまうと、そのあとどんな状況になっても生活を変えられないという人たちがいますよねぇ。その裏を知ってしまうと、ご同情申し上げるしかなくなってきます。その点でもどっちが良いかってことです。一度でも良いから豪勢この上ない経験をするか、そんな経験はまったくしないけれど、それほど困らずに生き延びていくのか・・・。どっちって云えないんですよ、ほんと。