ほぼ足りてまだ欲 その先

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公述人

2月15日、国会の衆議院予算委員会で、新年度予算案などについて専門家から意見を聞く中央公聴会を開き、4人の公述人が発言をした。
自民党推薦、マネックス証券・専門役員・大槻奈那
日本維新の会推薦は政策コンサルティング会社「政策工房代表取締役・原英史
公明党推薦、東京大学大学院教授の川口大
国民民主党推薦、法政大学教授、小黒一正の4名。

問題は、維新推薦の原英史の発言。
彼は政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)座長代理を勤めている。
毎日新聞が2019年6月、国内で就労できない外国人を特区で働けるようにする規制改革を要望していた美容系学校法人側から、原氏と協力関係にあるコンサルタント会社に約200万円の支払いがあったなどと報道した。6月13日から内閣府の官僚をよび野党合同ヒヤリングが行われた。
立憲民主党篠原孝衆院議員がブログに「原委員によるいかがわしい政策作りが行われていることを問題としてきた」「悪辣(あくらつ)なことばかりし、自分の懐を肥やしている」と書いたことを名誉毀損として550万円の賠償請求訴訟を起こした。2021年03月29日に東京地裁中吉徹郎裁判長は名誉毀損を認め、篠原議員に165万円の支払いを命じた。上告後2022年1月13日、東京高裁の中山孝雄裁判長は名誉毀損を認めた上で1審から賠償額を上積みし、篠原に220万円の支払いを命じた。つまり、篠原に原英史は勝った。これはこれでまぁ、そうですかというわけですが、多分原英史はこれで収まらないわけでしょう。
あろうことか、この日の公述人発言で原英史は冒頭からこの話を始めた。かなり周到に準備がされていたようで、篠原個人というよりもこういう野党合同ヒヤリングという場を作った政党、つまり立憲民主党他の野党に問題があると強弁する。議事録に残った発言も本来的には事実と異なる発言は削除できるようにするべきであると主張する。
 彼は国会議事録はデマを垂れ流す三流メディアといっても良い、なんとかするべきである、とまで断じた。最後にNetflixの映画「新聞記者」では「総理の意向だ」とされている部分は、実際には赤木ファイルでも否定されているではないか、これを放置するのかと主張。17分にわたる発言はこれだけだった。これはいったい予算委員会のなにに関する公述となるのだろうか。
ところが大変に驚くべきことに、NHKのニュースはなんと報じたかというと、

日本維新の会が推薦した政策コンサルティング会社「政策工房」の代表取締役を務める原英史氏は、今後の産業振興の在り方について「デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションが進んでいくが、これは『産業革命』だ。新しい社会構造にいち早く乗った企業や国が、その先の数十年、百年の覇権を握ると思う。従来の産業の枠にとらわれた産業振興では、日本は世界の成長に取り残され貧しい国に転落していきかねない」と指摘しました。(NHK2022年2月15日 12時44分)

な、なんと!こんなこと一言も発言していない。
これはいったいなんなのか。

 問題はここからだ。このあと維新の足立康史が「どうだ、わかったか、立憲はどうするというのか、何にも発言しないというのか」と絡み始めた。「謝罪しないのか?!え、関係ないか?維新はこの十年、国会の構造改革に取り組んできた。万年与党の茶番劇に付き合っていかない。国会への要望があったんだからどう扱うか理事会で検討して欲しい!」選挙で勝った日本維新を忘れるなといわんばかりである。促されて原は野党合同委員会は不当だったと認め、YouTubeを削除して欲しいと要望。足立は菅直人の福島の子どもに対する発言を指摘する〔何のことやら私にはわからないが〕。
日本の繁栄のために国会の改革に取り組んできたんだ、私たちの働きによって国会も野党も変わってきている。もうひとつ主張があればいって貰いたいと促されて森友以来特区議論が止まっていると原英史はいう。

 しかし、これで終わらなかった。共産党の宮本徹が立って、予算委員会公聴会の発言としては非常に問題であり、推薦した政党の責任もあると指摘した。すると原がこれは国会全体の問題として認識していると主張。
平成30年4月開学が規定項目とされた加計学園獣医学部のあり方はどうして決まったのか、と宮本がした質問に対しては、原英史は「一校に制限されていたわけではない、どんどん二校、三校に認可したら良い」と答弁。維新議員が拍手する。

 次の展開がこれ。
維新の馬場伸幸共同代表は国会内で記者団に、「一般の方の意見への誹謗(ひぼう)中傷は社会人としておかしいのではないか。度重なれば公述人が意見を正々堂々と述べることに臆する場面も出てくる」と懲罰動議足立康史の名前で衆院に提出。

足立康史や、馬場伸幸の発言、行動を追いかけていくと、私はむしろ「ナチス的な弁舌」というよりも、ジョセフ・レイモンド・“ジョー”・マッカーシー(Joseph Raymond "Joe" McCarthy)によって撒き上げられ、多くの国民が流されて重要な文化、重要な人材、時間を潰してしまったあの時期を思い浮かべる。多分、ゲッペルスの策略にも通じる部分は大いにマッカーシーにもあるのではないかという気がするけれど、昨年のあの衆議院議員選挙はひょっとするとこの国の根幹を揺るがすポイントになりかねないという危惧を持つ。大変に危険な兆候が現れている。