ピクニック at ハンギング・ロック ディレクターズ・カット版 [DVD]
- 出版社/メーカー: エスピーオー
- 発売日: 2005/01/28
- メディア: DVD
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国立演芸場の方は早く来た人が一階のロビーにある椅子に座って待ち、その後から来た人が立って並ぶというシステムで、こちらは「早いが勝ち」システムになっていて、何となく納得ができる。
どちらの会場もエレベーターもあるが、「はい、上がって下さい」といわれると普通の二階に上がるよりもたくさんの階段を上がることになるが、列を作っていくので、エレベーターを利用できない。エレベーターでなくては上がれない人は並んでいた人達が一区切り付いてから、ということになる。フィルムセンターでは杖を突いた人まで階段を苦労して上がっていった。
さて、開演30分前までに並んだ人のうちの第二陣の一員として席に着いたわけだから、映画が始まるまでに20分ほどの時間があり、その時点では客の入りはほぼ半分くらいではないだろうか。もちろん後ろの方から埋まるが、不思議なことにこの時点で一番前に座る人がちらほらいる。これはどういう意図によるものか、私には理解ができない。見た目は綺麗な映画ホールだけれども、椅子に座ってみると見た目と違って座り心地はあまり良くない。ちょっとがっかり。開演直前には席は9割方埋まり、ほぼ真ん中からちょっと前に座った私の両脇はおじさんとお姉さんが座ってそのあたりは席が埋まっていた。35mmの映画で普通の音響だから、古い映画の印象は否めない。こうして考えると映画産業の技術革新は甚だしいものがあるわけで、大資本によるシネコンに振り回される仕組みの一端が窺える。
映画は「Picnic at Hanging Rock」。原作は1967年に出版された小説で著者はJoan Lindsayである。Hanging Rockというのはビクトリア州にある景勝地で、映画の中でも語られるが、非常に粘性の高い溶岩が吹き出したことによって形成せられた岩である。なんだか、妙義山のような、あるいは映画「未知との遭遇」に出てきたあの岩山のような雰囲気も持っている。時代の設定は1900年。舞台はAppleyard Colledgeという女性のためのボーディング・スクールである。St.Valentien’s Dayの朝、生徒達は5頭立ての馬車でHanging Rockにピクニックに出かける。その場所で三人の生徒と一人の教師が行方不明となってしまう。その結果、このボーディング・スクールは親が心配して生徒を引き上げはじめ、いろいろなことが起きるという話である。映画の制作会社の住所がシドニーのチャッツウッドになっていたのには思わず苦笑い。
著者はこの後1987年に“The Secret of Hanging Rock”という本を著しているそうである。どうやらこの著書は豪州に於いてはよく知られた文学としても受け取られているようで、Google Australiaで検索をかけてみると多くの学習者、研究者による論文、thesisがヒットする。
映画はメルボルンにあるthe Australian Centre for the Moving Imageでも今年の6月に上映されているし、この小説の音声版はABCショップでCD3枚に朗読版となって売られている。A$35.99である。日本円にするとおおよそ3250円ほどだけれども、これが相場として高いのか、安いのか私には分からない。DVDはディレクターズ・カットがアマゾン・ジャパンで4179円である。通常アマゾン・ジャパンのDVDのサイトがそうなのかどうなのか分からないが、カスタマー・レビューに五人の人が書き込んでいるのは興味深いものがあった。
この映画で監督を担当したのはPeter Weirで、彼はこの後次々にヒット作を生み出している。ロビン・ウィリアムスの「Dead Poets Society いまを生きる」、ハリソン・フォードの「刑事ジョン・ブック 目撃者」、ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」、なんだかなぁと思った「モスキート・コースト」等々、枚挙にいとまがない。