ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

馬が引いていったんだよ

 先日の法事の時に岳父の妹、つまり私のつれあいのおばさんにあたる人と話をしていたら、戦後すぐにそれまでいた三軒茶屋から墨田区に引っ越したというのだ。借り住まいをしていたのだけれども、その家を買おうとしたら他の部屋にも借りて住んでいる人がいて(なにしろ当時は住宅が払底していたんだろうから)、その人がでてくれないから墨田区に引っ越したというのである。ま、そこまでは良い。で、その引っ越しが荷車を馬に引かせ、それに乗ってやってきたのだけれども、結局7時間かかったのというのである。直線距離にしたら20kmはないだろう。それでも道に沿ってくるとそれくらいにはなるのかも知れない。坂道もあるだろう。しかし、時速にしたら4km/hとならないだろう。ゆっくりと時間の流れる時代のことだったのだなぁと思ったんだが、想い出してみると、私の実家の下にバイパスが通った時のことだから私が小学校に上がるかどうかという頃。すなわち50年以上昔だけれども、工事を座り込んで眺めている私たちの前をおじさんに引かれた牛車が結構通ったものである。だから道路には牛や馬の糞やら、牛のわらじ(牛にもわらじを履かせたんだなぁ)なんてものが普通に落っこちていた。東横線沿線の話である。
 たったの50年で日本人の生活はこんなに変わったんだもの、人間の感性だって大きく変わるよねぇ。変わらないのは自分だけのような気がするんだけれども、あと50年経ったら日本人はどうなっているんだろうか。言葉がもう通じないんだろうなぁ。コマーシャルに利休だ、大石内蔵助だ、ニュートンだと出てきて「ここは未来?」なんて聞くけれど、そんなの通じるわけがない(お、真剣だぞ、あんなコマーシャルに!)。言葉それ自体がもう通じやしないんだって。