ほぼ足りてまだ欲 その先

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加ト吉

♪かとぉきっちゃん、かときっちゃん!というコマソンで小さい頃からよく聞いていた社名である。四国の大手食品メーカーと理解している。「循環取引」という言葉を私は聞いたことがなかったか、あるいは随分前のことでもう思い出せないのかのいずれかである。今朝の「朝は一番乗り」で須田慎一郎が「埋もれそうなニュース」として伝えていた。確かに気がつかなかった。

加ト吉、「循環取引」の疑い・社内に調査委 NIKKEI NET 20070325
 加ト吉グループが複数の取引先と帳簿上は商品を受け渡したように装う「循環取引」に関与していた可能性があることが25日、分かった。同社は公認会計士らによる調査委員会を社内に設置、4月にも調査結果をまとめる。
 取引先の食品機器メーカー、小野食品興業(岡山市)の事実上の倒産などを機に過去の取引状況を監査法人が精査し、循環取引の可能性を指摘されたという。加ト吉は1月中旬に調査委員会を社内に設置、3月には公認会計士を加えて同社の過去5年すべての取引実態の調査を進めている。
 調査の過程で回収できない恐れのある債権が約50億円、在庫品の評価損が約25億円発生することも判明。近く2007年3月期の業績予想を下方修正する。
 同日、香川県内で記者会見した島田稔専務は「(取引先の)倒産までは正常の取引と認識していた」と説明した。

ひとつの商品を全く動かすこともせず、次から次に転売していって少しずつ値を上げていくことで売上利益が上がるというわけで、はっきり云って架空取引ではっきり云ってしまえば粉飾である。伝票さえあれば始末がつくというわけである。この日経の記事では「気がつかなかった」といっているということに思えるのだけれど、下の共同発の東京新聞の記事を見ると微妙に違っている。

循環取引加ト吉関与か「当社は被害者」と専務 東京新聞(2007年03月25日 21時12分)(共同)
 冷凍食品大手の加ト吉が、商品を実際に動かさないまま帳簿の上だけで複数の取引企業間を転売する「循環取引」にかかわった疑いのあることが25日、分かった。
 加ト吉の島田稔専務はこの日開いた記者会見で「循環取引の有無は現段階では分からない。もしあったとすれば、われわれは被害者だ」と説明。同社は外部の弁護士らでつくる調査委員会を設置し、調べている。
 加ト吉幹部によると、取引には最終的に、大阪市の中堅商社や香川県の貿易会社など約30社が加わっていた。幹部は「中小の企業は、対外的信用を得るため(加ト吉のような)大手を取引の間に入れたがる」と話している。
 これらの取引に絡み、みずほ銀行加ト吉に対して持つ債権30数億円が未回収になっている。

 そんな取引があったかどうかはまだわからないけれど、あったとしても被害者なんだというこの専務なる人のコメントは怪しさを現している。加ト吉といえば創業者で社長が超有名人で冷凍うどんの加ト吉をここまでにした実力者といわれている。「レジャーは俺に任せろ」で命名したという「レオマワールド」、カネボウの麺部門、京樽を買収、立て直し、と見てわかる通りである。しかし、下の記事を見るといろいろありそうだなと思わず眉に唾してしまってもそりゃ無理もないんじゃないだろうか。

納入業者にチケット買わせた加ト吉子会社に警告 四国新聞2007/03/08 09:32
 納入業者に対して歌謡ショーなどのチケットを購入させたり、協賛金を徴収したのは、独占禁止法(優越的地位の乱用)に違反する疑いがあるとして、公正取引委員会は7日、加ト吉の子会社で琴参閣(香川県仲多度郡琴平町)など香川県内で五つのホテルを経営する加ト吉フードレック(香川県観音寺市)に警告を行った。
 公取委によると、同社は五つのホテルで2003年4月から2006年12月にかけて、歌謡ショーや食事会などのチケットの購入を、総支配人らが業者に要請し、買わせていた。約540の取引業者のうち約45%が購入し、金額は2003-2005年度の3年間で約1億5百万円に上る。また、三つのホテルは2003年4月 ―2006年11月、「特別値引き」などと称して、毎月の代金を2.5%または5.0%差し引いて納入業者に支払っていた。金額は約6千7百万円で、約450業者のうち約15%が負担していた。
 同社は「警告を真摯(しんし)に受け止めており、取引業者へのチケット販売や協賛金はすでにやめた。今後は迷惑をかけることのないように取り組む」としている。

 この記事で想い出すのは随分古い話で恐縮だけれども岡田・三越商法じゃないだろうか。つまり、そうした体質を抱えていると云われても仕方がないのではないだろうか。いろいろ漏れ聞こえてくる創業者社長のわがまま振りなんかも相当昔体質を生む要因になっているのかも知れない。
 最後になってしまったけれど、この件については読売が一番詳しくこのように報道している。

加ト吉、グループ内で伝票上だけの「循環取引」? (2007年3月25日3時14分 読売新聞)
 東証1部上場の冷凍食品大手「加ト吉」(本社・香川県観音寺市)グループを巡り、複数の取引先企業が加わって実際には商品を動かさず伝票上だけで売買する「循環取引」が繰り返されていた疑いが、関係者の証言で明らかになった。
 少なくとも3年以上前から続き、昨年末に中止されたという。うち1社は年間の取引額を「200億円」と証言。上場企業の加ト吉の場合、売上高が粉飾されるなどして決算と実態が異なれば、有価証券報告書の虚偽記載を禁じた証券取引法上の問題も浮上する。加ト吉は社内に調査委員会を設置して調べている。
 関係者の証言を総合すると、伝票上の取引として、大阪市の中堅商社が、香川県の貿易会社から冷凍クリや健康食品などの商品を仕入れ、加ト吉や子会社の「加ト吉水産」(本社・観音寺市)に販売。加ト吉側から兵庫県岡山県の食品販売会社などの順に転売され、さらに、もともとの仕入れ先の香川県の貿易会社に転売された。この間、商品は神戸市の倉庫会社で保管されたまま出荷されず、売買の度に名義変更だけが繰り返されたという。
 同商社関係者の話では、取引は香川県の貿易会社から持ちかけられ、2003年5月から始まった。加ト吉加ト吉水産に昨年1年間に200億円分を販売した、としている。仕入れ値の1%程度を上乗せして販売しており、利益は約2億円。取引実態についてこの関係者は「商品は実在し、架空取引とは思っていない」と主張している。
 仕入れの際、自社の手形を振り出し、加ト吉側からは現金で支払いを受けていた。取引中止は、加ト吉側の意向だったという。
 加ト吉から商品を購入する側の食品販売会社関係者は「香川県の貿易会社役員から指示を受けて売り買いし、手形をやり取りしていた。倉庫での名義変更手続きも役員に任せていた。本業には必要なく、架空取引と言われても仕方がない」と証言した。
 別の食品販売会社は、自転車操業的に手形を決済していたとし、取引中止で不渡りになり、億単位の負債を抱えているという。同社関係者も「貿易会社役員の指示に従った」と話した。
 貿易会社は十数年前から加ト吉と取引があり、問題の取引では、その役員が中心的な役割をしていたとみられる。役員は読売新聞の再三の取材申し込みに応じていない。
 他に、近畿、中国、四国などの中小企業のべ十数社がかかわっていた、との証言もある。
 加ト吉の島田稔専務はこれまで1月と2月の2回、読売新聞の取材に対し、事実関係を全面否定していたが、24日の取材で、「結果的に循環取引になっていたかもしれない」と、加ト吉グループが不明朗な取引にかかわっていた可能性があることを認めた。同社は2月に社内調査委を設置して調査を進め、外部の弁護士や公認会計士らに調査結果の精査などを依頼しているという。調査の詳細は明らかにしなかった。

もっと前から問題化されても不思議のない事件であることは明白だ。