
舎人ライナーに乗ったのはこれで、多分、3回目くらいだろう。2008年にこれが開通する前はこの太い通りをバスで通っていた。2001年の夏休みにそのバスで毎朝扇大橋の停留所で下りて、特別養護老人ホームに通って4週間の実習をした。これをやらないと、国家試験の受験要件を満たすことができない。
今日は何をしに行ったのかといえば、「ワークマン」で裏に暖かい裏地がついた、超ストレッチするというズボンを買いに行ったのだ。ネットで随分宣伝していたので、あぁ、これはほしいなととっさに思った。結論は安いものはたしかにそれなりの理由があるんだってことだった。つまり、大して新しい価値観を生み出してはいないということだ。
扇大橋の駅で舎人ライナーを降りると、駅の眼の前に真新しい郵便局があった。年賀状用の切手を買う。突如大幅にはがきの郵便料金が上がったので、在庫の切手との調整切手を買う必要があるからだ。驚くべきことにちゃんと調整用の切手があって、値上がり分の22円額面の切手なんてのが存在する。受け取りながら「随分厄介なことになりましたねぇ」というと窓口の女性が「誠に申し訳ございません」とおっしゃる。「いやいや、それでも年賀状を出しますよ」というと、またまた「申し訳ございません」とおっしゃるのだ。彼女の責任じゃない、悪いのは日本郵便を民営化した小泉純一郎と竹中平蔵なんだと心のなかでつぶやきながら、ワークマン経由「高野(こうや)」からまた舎人ライナーに乗って日暮里へ取って返す。
ヨイショと座ると、眼の前にはどこの国の人かわからないけれど、髪の長い、メガネを掛けた若い女性がずっとスマホに没入している。隣りに座っている少年というか、もうちょっと青年になりかかったかと思える男性が、そのスマホをチラチラと覗き込む。一体何を見ているんだろう。しばらくすると、その女性がそれに気づいたらしくて離れるように座っている位置をずらす。そこで、あ、この二人は全くの他人なんだと気がついた。そのうちにとうとう女性は隣の席に移った。すると、少年が何かをつぶやき出す。あれ?どうしちゃったんだろうと思うまもなく、彼はリズムを付けてなにか台詞を口にした。歌なのかも知れないけれど、それにしてはメロディーラインとは思えない。よく見ると彼はイヤフォンを突っ込んでいる。そしてやにわに立ち上がるや、次の駅で降りていった。車内には平静が戻った。すると乗客のみんなも、つまらない状態に戻って、終点についた。