ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

公立中学で塾

 昨日のニュースで都教育委員会が「義務教育の機会均等の観点から疑義がある」と待ったをかけたと昨日報じられた。区の教育委員会も中学校の校長、そして保護者ボランティアも(実はどこの学校でもPTAはいうまでもなくボランティアだが)都教育委員会に猛反発。しまいには(私も責任を負っているわけだけれども)かの、ものを適切に考える能力に欠けている知事も「良いじゃないか」と口走る。根本的な問題を解決するという姿勢を忘れて臨床的に語るだけであればこれはもう政治のレベルではない。尤もそんなやり方ばっかりだけれど。
 毎日新聞(2007年12月24日 東京朝刊)の藤原和博和田中学校校長へのインタビュー(こちら)によれば『東京都港区教委は、「サピックス」のライバルと目されている大手進学塾「早稲田アカデミー」と提携。区立中学校全校で「土曜特別講座」を開いている。参加は自由だが、7割の生徒が参加』しており、『東京都江東区では2006年度、小学校10校で始まった塾講師が一緒に授業を実施する方式を採用しており、評判が良いので、2007年度は小中学校15校に拡大』したのだそうだ。『小学校と中学校が、それぞれ1校だけという福島県川内村は2007年春、「かわうち興学塾」を開校し、小5から中3に水曜の放課後と土曜午後の2〜4時間、塾講師が教える。』という各例を引いている。
 和田中学の試みは成績が必ずしも上位の生徒ではなくて、今少し手をかけられれば学ぶことの面白さを得ることのできる、そうした生徒を対象にしているんだという。
 それこそが学校が学校として取り組むべきポイントではないのか。それは今の中学校ではなぜ出来ないのだろうか。教師があらゆる雑用で忙殺されているといわれている現場をどうしたら整理し、教師にこうした工夫をした授業を実施して貰うことが出来るのだろうか。そしてどれほどの手をかけたらこうした創造的な本来的授業をすることが出来るのだろうか。それを考えるのが区の教育委員会であり、都の教育委員会なのではないのか。どうしても理解の出来なかった数学の考え方が「あれっ!」と突然理解できた時の喜びをどうしたら子どもたちに体験させて上げることが出来るのだろうか。それを塾の講師に委ねなくてはならないのか。
 和田中学、杉並区教育委員会はいわば「私達教育の専門家でありながらそこをやることが出来ない」と公表したということか。これはひょっとすると都に対するプロテストではないのか。それを「良いんじゃないか」と云ってしまうのは「わが都にはそんな意思もなければ考える能力もない」と云うことを認めたことになりゃしないだろうか。