ほぼ足りてまだ欲 その先

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そうは読めない

 ぼーっとしている間に「日本人の歴史教科書」自由社版を横浜市教育委員会が採択し、市内18区のうちの8区の中学校での使用が決まったと報じられている。
 市内8区の市立中学は計71校で、生徒数は1学年約1万3000人、扶桑社が発行した歴史教科書は、東京都杉並区(1学年約2千人)や栃木県大田原市(同約720人)などで採択され、自由社版で学ぶ横浜市の生徒数は、これらを大幅に上回る(毎日新聞2009年8月5日 東京朝刊)んだそうだ。
 「新しい教科書をつくる会」はそれまで出版していた産経新聞社系の扶桑社と確執があり、今度は自由社という出版社を設立し、これまで教科書を出版していた自由社から教科書の営業権を譲渡されている会社だという複雑な形態をとっている。まぁ、よくこんなからくりを作り出したというべきか。
 だから、この報道に関しては産經新聞のスタンスはその経緯を知らない人からは意外に思われよう。

 しかし、採択に対する反発は大きい。在日本大韓民国民団県地方本部や共産党市議団などは、「戦争を正当化し、憲法を敵視する」「子供たちに歪(ゆが)んだ歴史観を押しつける」などとする抗議声明を出した。こうした批判に対し、田村幸久教育長は「国の検定基準を踏まえた上で、教科書検定審議会の結論に基づくもの。仕組みを理解してもらいたい」としている。(msn産経ニュース2009.8.4 22:56)

 つまり、文科省がOKを出しているものの中から選ぶんだからどこに文句があるんだ、文句があるんだったらこっちじゃなくてあっちだろ!といっているということだ。
横浜市教育委員会

  • 委員長:今田忠彦(1943年生まれ、東北大卒、1969年横浜市入庁、秘書課長、行政部長、総務局長 2003年退職。2006教育委員長)
  • 委員長職務代理・委員:小茺逸郎(小浜逸郎)(1947年生まれ、横国大附中-東教大駒場高-横国大建築。国士館大客員教授。「たとえば、死刑囚、服役者、知的障害者精神障害者にも普通の市民と100%同じ人権があると平板に断ずるのは実態にあわない」)
  • 委員:吉備カヨ(1967年生まれ? 上智大比較文卒、人材派遣・(株)ジョビア代表取)
  • 委員:野木秀子(1948年生まれ? 京大物卒、日立製、日コン研、(株)CIJ取,CIJ副社長。 義家弘介氏の後任)
  • 委員:中里順子 (目黒学園女子商高教諭-市立岡村中教諭-市立桂台中副校長等-根岸中校長)
  • 教育長:田村幸久(1948年生まれ?中央大法卒、1971年横浜市入庁、市民局部次長、教育次長 前人事委員会事務局長、教育委員会に20年)

 今田委員長は会見で「自由社の教科書は歴史がわかりやすく書かれている。戦前に逆戻りするとか戦争賛美とか、植民地支配を正当化するような教科書だという風には読めなかった」と強調。「日露戦争の記述では小国日本が大国ロシアに勝った経緯が詳しく書かれ、良い意味での日本人の誇りが感じられる」と評価(asahi.com 2009年8月4日)

 教育委員長の見解としてはお粗末なまでに叙情的。こういう見解が表明されると、「どこが!?」という反発を引き起こし、その反発は原典の引用を必要とされて、その結果自由社版の売り上げに貢献し、「新しい歴史教科書をつくる会」に収入となると、こういう仕組みなんだろうかね?
 任期途中で首長の座を放り出し、それで横浜市は選挙に要する費用を10億円節約できたという全く本末転倒の正当化を図ろうとする中田宏の置き土産はあまりにも無責任であるというほかない。
 小浜がこんなところに入り込んでいたとは思いもよらなかった。

日本人の歴史教科書

日本人の歴史教科書