ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

お焦げご飯

 子どもの頃の日本には電気炊飯器なんてものはなかったから、ガスコンロではあったけれど、お釜でご飯を炊いていた。だから当然の如くお焦げができた。その日によって焦げ具合も違うし、焦げている量も違う。ちょっと他のことをしているうちに焦げちゃうと、その匂いで分かる。「アッ!焦げてるっ!」と誰かが声に出して、慌てて釜のところに走り寄るというのは日常の風景だった。
 ご飯をよそった時に、お焦げは避けられていたものだ。白い、柔らかい、ふかふかと炊きあがった白米が食べたいに決まっていた。お焦げが入ると、「えぇ〜」といったが、「もうそれしかないんだから我慢しなさい」といわれた。大体みんなが避けるから、昼飯なんかはそのお焦げに熱いお茶をかけてお茶漬けにしたけれど、その焦げが滲んで黒っぽくなる。そこにしょっ辛い塩鮭をのっけて食べると、茶の間に流れているラジオからはNHKの「ひるのいこい」のテーマソングがきこえてこなくてはならない。

 それが電気炊飯器ができてから、全くお焦げができなくなった。忘れ去られたお焦げとなった。見たことがなかった。全部が全部、白く炊きあがったご飯で、全部を文句なく食べることができる様になった。良いなぁと思った。
 それがいつの頃からだろうか。あんな具合に「アッ!お焦げだ!」と嬉しそうな顔をする様になったのは。その度にいつも「お前ら、本当にそう思ってんのかよ・・」と心の中でいっていた。